オリンピックへの道BACK NUMBER
忘れられぬ五輪代表落選の屈辱……。
ベテランはパンパシからリオを目指す。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT
posted2014/08/18 10:30
6月のジャパンオープンでの男子100m背泳ぎの表彰台にて。左から萩野公介、入江陵介、古賀淳也。
入江を破り「これでリオ五輪へ進めます」。
迎えた今春の日本選手権では、100mで7位に終わった。だが、「調整はうまくできているんだから、気持ち次第だ」とコーチに一喝されて臨んだ50mで、入江を破り優勝。派遣標準記録をもクリアした。
「今日は強い気持ちで行けました。これでリオ五輪へ進めます」
アジア大会代表に決まり、6月のジャパンオープン後にパンパシフィック選手権の代表にも決まった。
「北島以上」の冨田にも復活の兆しが。
平泳ぎに、冨田尚弥という選手がいる。25歳の冨田は、2011年、世界選手権代表選考会の200m平泳ぎで北島康介を破って優勝した。しかも、そのタイムは当時の世界記録まで0秒94。「高速水着」が禁じられたあとでは世界最高タイムだった。脚光を浴びるのも無理はなかったし、「ひとかき、ひと蹴りの能力は北島以上」と評価する指導者もいたほど、期待を集めた。
しかし、その中で臨んだ同年の世界選手権200mでは、準決勝敗退で終わった。大会までの調整期間に発熱するなど不完全な状態にあったことが原因だった。
その後、フォームを崩したまま取り戻すことができず、ロンドン五輪出場も逃した。それでも、「また頑張って泳ぎたいです」と語り、古賀と同様、のちにアメリカへ渡り、再起を目指してきた。
今春の日本選手権は100m6位、200mは決勝に進めなかったが、6月のジャパンオープンの100mで2位。久々の上位で代表に選ばれた。
古賀、冨田ともに、完全に復活したとは言えないかもしれない。それでも、久しぶりの大きな舞台に上がることができる。
見える光はまだ小さくても、可能性を信じて泳ぎ続ける。