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“安楽・高橋”不在に代わる主人公?
「九州の素材」が甲子園を騒がすか。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/07/26 10:30

“安楽・高橋”不在に代わる主人公?「九州の素材」が甲子園を騒がすか。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

互いの健闘を称えた九州国際大付の清水優心(左)と、西日本短大付の小野郁。この2人がプロで顔を合わせることもあるのだろうか。

福岡・九州国際大付の清水、古澤はまさに「素材」。

 善は4回戦で城北の前に屈したが、福岡大会で見た九州国際大付と西日本短大付は準々決勝まで進出した。九州国際大付は九州ナンバーワン捕手の清水優心と、やはり超高校級のショートと言われる古澤勝吾がクリーンアップを組み、西日本短大付のマウンドを守るのは九州ナンバーワン投手の呼び声高い小野郁(ふみや)である。

 強く惹かれたのは小野のほうだ。「素材」という言葉からは「未完成」のニュアンスが強く伝わってくるが、完成度は低くない。ストレートはスカウトのスピードガンに「149km」を映し出し、スライダーに縦・斜め・横のバリエーションがあり、ここに逆方向のチェンジアップが加わり、単調さを脱している。九州国際大付の清水と古澤はスカウトの言う「素材」に当てはまる未完の大器タイプで、果たして小野の緩急に2人が対応できるかというのが私の興味というか関心事だった。

 しかし両校が激突した準々決勝の結果は予想に反し、8対1のスコアで九州国際大付が7回コールド勝ちした。3回戦で飯塚、5回戦で福岡工大城東という甲子園出場経験のある強豪との対戦を経て、私の予想以上に九州国際大付の実戦力に磨きがかかっていたということだろう。

大分からは150km右腕・佐野の大分高が初の甲子園。

 大分大会を制したのは春の九州大会でストレートが最速150kmを計測した佐野皓大(こうだい)を擁する大分高である。明豊との決勝戦のスコアは延長10回で6対5だから、「素材」の匂いがプンプンする。先のスカウトに聞くと「(ドラフト)4、5位の時にはもういない選手。現時点の能力には首を傾げながらでも、獲りにいかないと手に入らない」と表現した。

 九州の素材――強く惹かれる言葉である。今年の地方大会では“二大投手”の安楽と高橋光がすでに敗退し、焦点が合わせづらい状況が生まれている。2人が出場しない代わりに、東北の松本が激戦の岩手大会を勝ち抜いて、とりあえず大分の佐野とともに150km右腕の揃い踏みが約束された。ここにあと数校、九州の素材が加われば安楽と高橋の不在感はだいぶ薄れる。九州国際大付は福岡の難関を乗り越えられるだろうか。

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