ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
米ツアーへの「経由地」という価値。
日本ゴルフ界で韓国人が減った理由。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAP/AFLO
posted2014/05/28 10:30
ルイジアナ州エーボンデールのTPCルイジアナで行なわれたチューリッヒクラシック最終日、盧は4バーディ、3ボギーの71でまわり、通算19アンダー。2位と2打差の269で優勝。
中国経由米ツアー行き、という新たな可能性。
だがその李によれば、韓国にいる同世代の選手の多くは、その視線を日本とは反対の方角にも向けているらしい。「僕と同じくらい若い選手が既に、中国に何人か行っているんですよ」。
昨秋米国男子ツアーは、下部組織「PGAツアー・チャイナ」の発足を発表した。タイガー・ウッズをはじめ石川、松山が主戦場としているレギュラーツアー(PGAツアー)の下には、それに準ずるウェブドットコムツアーがあり、中国の新ツアーはその下に属するもの。
初年度の2014年は、国内で12試合を開催。年間の賞金ランク上位の選手には、ウェブドットコムツアーへの出場権などが特典として付与される見通しだ。その枠数や、制度が依然として整備されないままシーズンが推移しているのだが、米ツアーに直結していることが、韓国の若手選手にとっては大きな魅力なのである。
ハングリー精神は、韓国人の国民性。
「彼らは『まだ制度が確定じゃないけれど、確定じゃないから、チャンスだ』って言うんです」と、李。
「早いうちから、中国のゴルフに慣れておいて、制度がしっかり固まった時に、ようやくやって来る選手よりも早く、一気にチャンスを掴もうって。もちろん、高いレベルで経験を積める日本のQTのチャンスもうかがいながら、どこにでも行こうと考えてる。米国に行くための機会が増えて、分散すれば、それだけ道も多くなるし、確率だって高くなる」
アメリカンドリームにつながる道筋が増えたことを、強く歓迎しているのだ。
虎視眈々と、あらゆる場所でチャンスを探り、挑戦するハングリー精神。李は韓国人のそれを「国民性」と表現した。
「韓国人の国民性のひとつに、『夢は大きく持つ』というのがあると思うんです。ゴルフも『やるなら、一番レベルの高いアメリカで一発、当てたい!』と誰もが思う」