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キプロス戦へ、そして大一番のW杯へ。
日本代表・鹿児島合宿密着レポート。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/05/27 10:50
怪我からの回復具合について注目が集まっている内田篤人。27日のキプロス戦での出場はあるのだろうか。
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【2】~日本代表・鹿児島合宿/2日目レポート&練習後会見(2)~
酒井宏樹「自分の身の丈に合った自信を持ちたい」
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続いて話を聞いたのは、酒井宏樹だ。記者の質問に対して、一つひとつ丁寧に答えていく。
100%以上のものを出さないと通用しない大会だと思う。
――今、酒井選手に求められていることは?
「しっかりと準備することじゃないですかね。僕は代表に入って2年間ですけど、その中で与えられたチャンスがあった。その時と同じように、どれだけ良いプレーができるかということにつながってくると思う。100%以上のものを出さないと通用しない大会だと思うので」
――ハノーファーでの2シーズン目ではかなりの時間にわたってプレーしたので、代表でもしっかりやっていけるようになったという自信もつかんだのでは?
「代表とクラブは全く別物と考えているので。クラブでは多く試合に出られた1年ですし、クラブと代表の両方でやれる自信はありますけど、過信はよくないので、しっかりと自分の身の丈に合った自信を持ちたいです。ただ、(自信を持てたのかどうかを判断するのは)大会が終わってから、ですね」
――午前中の練習では、チームを半分にわけての練習。戦術練習では監督にかなり見られているような感じがある?
「そうですね。ポジションのことはよく言われるので。見られているな、とすごく感じます」
――イタリア人監督として独特の指導方法もあるのでしょうか?
「(選手同士の)距離感というのはすごく大事です。でも、それが出来ればかなりプラスになると思う。みんながそれを出来るようにトライしているところですね」
――本大会までの1カ月ほどは毎日の練習をコツコツとやっていこうと?
「そうですね。その中で23人で戦うというスタンスは変えちゃいけないと思います。出ている11人が100%の状態にいたとしても、例えば試合中に足をつったりしたらすぐに出られるように準備したり……。23人が同じレベルでやれるように頑張っていきたいです」
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【3】~日本代表・鹿児島合宿/3日目レポート&練習後会見(1)~
岡崎慎司「1トップ、右・左サイド……どこでも特長を出せる」
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5月23日、指宿合宿の3日目だ。この日の午前中の練習は当初の予定よりも30分ほど遅れて、10時から始まった。前日は発熱のために大事をとっていた酒井高徳も復帰していた。
午前中の練習で報道陣から見ることの出来たのは、攻撃の戦術確認だった。メンバーは以下の通り(GKは別メニュー)。
酒井高 香川
今野 遠藤
大久保 大迫
吉田 山口
酒井宏 齋藤
報道陣に公開された時間帯にザッケローニ監督が口を酸っぱくして指導していたのは、日本から見て左サイドにボールが入った時の状況だ。今野がボールを持ちあがり、相手に今野をチェックに来させて、香川と酒井高徳がサイドで数的優位に立てる場面を作るように指示が飛ぶ。また、香川がボールを持ち、中に入っていったときに大迫と齋藤が2トップの形になることなど、ザッケローニ監督から細かく指示が飛んでいた。
午後の練習のあとには、この日も選手たちが取材に応じる。マインツでしっかりと結果を出してきた岡崎慎司には、これまでよりも多くの報道陣が話を聞きに来ている。
――今は代表ではやるべきことを確認している状態ですか?
「まだまだ、確認しているという感じです。監督としては、この1カ月間で今までやってきたことを工夫しながら、刷り込ませていく、みんなの頭の中に叩き込むという感じでしょう。それを叩き込んだ上で、選手それぞれの特長を出すということになってくると思います。みんなが(チームコンセプトから)違うことをやりだしたら、強豪相手には勝てないと思うし。マインツでも戦術で勝負しているところもあるので、(ザッケローニ監督の狙いについては)すごくわかるという感じですね」
――コートジボワールなどの強豪を相手にしたら戦術面の整備が重要になってくると?
「個で勝負するというよりは、組織的にプレーしないと勝てないと思う。日本には攻撃の最後の局面で能力の高い選手がいるので、そこでは個の力で勝負しないといけないと思います。ただ、(グループリーグの対戦相手は)どのチームも攻撃が強いと思うので、いかに失点しないかというのが自分たちにとっては大事なことかなと。先制されれば苦しくなると思うし。コンフェデでのブラジル戦ではそれが一番顕著に出ていたと思う。あれ(※編集註:開始早々ネイマールに先制点を許し、ペースを握れず0-3で敗戦した)で自分たちのサッカーが出来なくなったので」
――マインツでは、大きいディフェンダーを背負った状態でゴールを奪う方法を覚えてきた?
「点の獲り方としては、ボールを奪ってからのシュートとかではないんです。裏に抜けてからの得点が自分につながってくると思うので。それに特化したプレーというか、その場所で勝負する回数を増やせればいいので。その回数を増やしたことで1トップでやろうが、右サイドでやろうが、左サイドでやろうが、どこでも特長を出せます。サイドに入った場合は戻っての守備も必要になってくるので、頭の切り替えはしていかないといけないと思いますね。(マインツにいるときのように)1トップだと待てる時間も長くて、攻撃時の動き直しだけで済んだので。(代表のように)右サイドだったらボールが来ないことも多いと思う。その中でも我慢してサイドで張ることで、味方がパスをくれるかもしれないですけどね」
――代表で1トップの位置に入ることもあるのでは?
「まあ、どうなるかわからないですし。途中から1トップになるかもしれないので、準備はしておきたいです。自分の特徴を最大限に出せれば、あれだけ点を獲れるということが(マインツでの1年間で)わかったので。自分が成長したというよりは、もともと持っている力を最大限に引き出せたときに15ゴールという結果を得た自信が生まれました。代表ではその良さをわかってもらえているので、出すだけかなと思います」