セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セリエAに蔓延するEL軽視の姿勢。
名門クラブから失われていく“気概”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2010/12/17 10:30
4戦連続でドローに終わっていたユベントスは12月1日、レフ・ポズナニ戦でも1-1と引き分け、グループリーグ敗退が決まった
停滞するセリエAのクラブが取り戻すべき気概とは?
イタリアにはバチカンや首都ローマという欧州社会における絶対的かつ普遍的存在があるがゆえに、人々の間には保守的なメンタリティが強い。
早い話が、“変化に弱い”ということだ。
「われわれのメンタリティを変えるのは一筋縄ではいかない」
12月初旬、現地紙上で自国勢低迷について提言を行なった前ジェノア監督のガスペリーニ氏ら指導者たちは、こう口を揃えた。しかし、そのなかで異彩を放っていたのがセルセ・コズミ氏の言葉だ。
コズミは、かつてペルージャを率い、'03年にインタートト杯(UEFA杯予選も兼ねていた各国リーグ中位向けの国際大会。'08年に廃止)を制している。
「あのときに国境を越えるということが、己の価値観を捨て、何者も見くびってはならないという意味なのだと悟った。欧州カップ戦では地方の代表ではなく、イタリアという国全体を背負う覚悟を持つべきだ」
停滞するイタリア中位クラブが取り戻すべきは、この気概と冒険的野心だろう。
今季、セリエAはいよいよインテルの牙城が崩れた。ラツィオやナポリの台頭もあり、再び群雄割拠の時代が訪れる気配がある。リーグ終盤の来季EL出場権争いがより楽しいものになることを期待したい。