野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
かっこ悪くても、キヨシにいてほしい!
CSを逃したDeNAの監督辞任騒動。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/09/28 08:02
監督とはとかく批判されるもの。ファンから続投を望む声があがることはそう多くない。中畑監督はその声とどう向き合い、どんな結論を下すのだろう。
男が出処進退をかけた以上、辞任は当然だが……。
有言実行だった。
7月には一時期だけでも3位に上がり、これまで12球団で唯一“クライマックス争い”すらしたことがないチームが、9月後半まで戦ってこれたのは大きな成長だった。
故に自らクビをかけて、チームの先頭で戦ってきた指揮官が、CSを逃したことで責任を取ることを男のけじめと考えるのは自然。
「昨年の最後に話した決意は変わっていない」
9月24日、夜。“中畑監督辞任示唆”の第一報が流れると、球団の公式Facebookには500件以上の「辞めないで」というコメントが書かれ、同時にメールや電話が寄せられたという。
翌朝、大阪で朝の散歩をしている中畑監督に横浜から来たファンが「辞めないでください」と声を掛け、試合中にはスタンドの阪神ファンからも声が飛んだ。さらに、球団も強く慰留する方針らしい。
キヨシが残るのか、辞めるのか、すべては全日程終了後に発表される。
ファンはカッコ悪いキヨシを来年も見たいのだ!
そんな中の25日。CS進出が断たれ残り8試合となっても選手のモチベーションは切れていなかった。「ひとつでも順位を上げたい」という多村の勝ち越しスリーランなどで、4-2で阪神に競り勝つ。
26日も梶谷の2発で6-4と勝利。9年ぶりの阪神戦勝ち越しを決めた。
60勝なんて実に久しぶりの響き。去年より借金は半分になり、投手はドべでも打線はセ・リーグナンバーワンを誇るまでになった。
男らしく責任を取るのも潔いが、去年、今年とせっかくチームが成長の土台を築けたのだ。責任を取って退団を選択すれば、中畑イサギヨシ! とはなるかもしれないが、ベイスターズはまた昔と同じ悪夢の2年単位の輪廻を繰り返すことになる。せっかくここまで期待を持たしておいて……投げ出しては逆に無責任だ。
前言撤回はカッコ悪いかもしれないが、なんとか来年も続けて欲しいと多くの人が望んでいる。中畑清はそれができる監督だ。
決断は最終戦後か。
その動向に注目したい。