欧州サムライ戦記BACK NUMBER
バイエルン、変幻自在にCSKAを圧倒。
本田圭佑が感じた、王者との“格差”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2013/09/18 11:35
リベリー、ロッベンは守備にも奔走し、ダンテ、ボアテンクら守備陣とともにCSKAの攻撃を封殺。本田は孤軍奮闘を見せたが、バイエルンの厚い壁を打ち崩すには至らなかった。
昨シーズン、欧州チャンピオンズリーグでバルセロナを完膚なきまでに叩きのめしたバイエルンが、グアルディオラ新監督の下でどんな戦いを見せるのかに世界中の注目が注がれていた。9月17日のCLグループステージ第1節、その相手に選ばれミュンヘンにやってきたのはCSKAモスクワで、そこには日本のエースである本田圭佑がいた。
バイエルンは先週末のハノーファー戦から、それまでの4-1-4-1から4-2-3-1に近い形に少しだけ変えている。守備ではバイタルエリアが空いてしまうことが多く、2列目に4人が並んでいることで、攻撃のスペースをつぶし合う傾向があったからだ。この日は中盤の底にクロースとラームがいて、相手の攻撃時のスペースをケアするとともに、攻撃陣にスペースを空けていた。
バイエルン対策を講じていたCSKAだったが……。
バイエルンの左サイドでは、SBアラバとMFリベリーが交互に中に入ってくることで、マークをひきつけ、もう片方の選手が外に開いて、フリーでボールを受け、攻撃を進めていく。右サイドにはトップ下のミュラーと右MFロッベンが交互に開いて、ときおりそこに右SBラフィーニャが絡んでくる。
それでも、CSKAは勇敢にDFラインを高くあげ、DFラインから2列目の本田までの距離を20mほどのコンパクトなエリアに保ち、相手の攻撃に備えていた。前半4分アラバによって先制点となる直接FKを右下隅に決められた後も、中央にしっかりと人数を割いて、ゴール前で粘って守備を続けていた。前半14分のマンジュキッチのヘディングシュート、20分のラフィーニャの右足のシュートから決定機を許したものの、それくらいのチャンスを与えるのはある意味で想定内だった。
むしろ、CSKAはよく守っていたのだ。
問題は別のところから生まれた。そして、そこにバイエルンの強さがある。
バイエルンの強さは、その臨機応変ぶり。
前半4分の先制点に続き、41分にはロッベンが少しタイミングをずらして蹴ったFKにマンジュキッチが頭であわせ、バイエルンが2点目を奪った。
昨シーズン、DFBポカール決勝で対戦し、バイエルンが三冠を達成する最後の瞬間に立ち会ったシュツットガルトの酒井高徳はバイエルンの強さをこう評していた。
臨機応変な戦いができる、と。