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開催1カ月前でサーキットが未完成!?
強行開催濃厚も不安募るF1韓国GP。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byYonhap/AFLO

posted2010/09/23 08:00

開催1カ月前でサーキットが未完成!?強行開催濃厚も不安募るF1韓国GP。<Number Web> photograph by Yonhap/AFLO

9月4日のF1マシンでのデモ走行に見る不安要素。

 9月4日に元HRTのレギュラードライバーだったカルン・チャンドックがレッドブルのマシンに乗ってデモ走行を行ったが、映像を見る限り、路面はまだ下地となる一層目のアスファルトを敷いただけで、縁石まではまだ数cmはアスファルトを敷かなければならない状態だ。奇跡的に10月21日までにコースが完成したとしても、できたばかりのアスファルトの上をF1マシンが全速力で走行するとアスファルトが剥がれたり、よれたりする可能性がある。今年もドイツGPが行われる1カ月前に、ホッケンハイムリンクでバスの練習走行を行った際、暑さとバスの重みでアスファルトがよれるという事態が生じ、主催者が慌てて一部路面を補修したことがあった。

会場までのアクセス、宿泊施設の不足……問題は山積。

 山積している問題は、サーキットの建設だけでない。韓国GPの最大の問題は、むしろサーキットまでのアクセスと周辺の宿泊状況と言われているからである。

 韓国インターナショナルサーキットが建設されている場所は韓国南西部の全羅南道霊岩郡で、首都ソウルから車で4時間もかかる。国際線空港の仁川からもっとも近い務安空港に国内線を乗り継いで行こうとしても、務安行きの飛行機が出ている金浦空港まで約1時間。そこから飛行機で1時間。さらに務安空港からサーキットまでも1時間はかかるため、合計3時間はかかる計算だ。

 サーキットからもっとも近い街までは車で10分だというが、果たしてその街にどれだけの宿泊施設があるのか不明。ヨーロッパ以外の国で新しくグランプリが開催される場合は、主催者からメディアに宿泊施設の案内が優先的に送られてくるのが通例となっている。アブダビGPはこの手配を初開催の約5カ月前には行っていたが、韓国GPからは1カ月前になろうとしてもまだその知らせはない。恐らく、主催者側はいまサーキットの建設で手一杯で、とても宿泊施設や関係者の移動手段の確保まで手が回らないのではないだろうか。いわんや一般観客の交通手段や宿泊まで、ケアしているとは考えにくい。

 そうなってくると、せっかく韓国初のF1開催にもかかわらず、韓国のファンがサーキットに容易に観戦には行けないという状況が考えられる。

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