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正念場を迎えた大相撲。
秋場所までに抜本改革を。
~「国民的娯楽」への再生は可能か~
text by
服部祐兒Yuji Hattori
photograph byJMPA
posted2010/08/30 06:00
千秋楽も空席の目立った名古屋場所。9月12日初日の秋場所前売り券も芳しくない売れ行き
野球賭博により緊急事態に追い込まれた相撲界。賛否両論渦巻く中で、開催された名古屋場所は、異例ずくめだった。番付発表延期、十両以上の力士と親方参加の土俵祭り、NHKの生中継中止、天皇賜杯など協会以外の表彰辞退等等。入場者数は前年比9%減の9万4900人、満員御礼は8回から4回に半減した。懸賞の数も1033本から242本に激減し、呼び出しの着物からは広告が消えた。延べ155人もの愛知県警警察官が厳重警戒を敷く物々しい雰囲気の中での15日間となった。
相撲は白鵬の独り舞台だった。横綱相撲を取りきり、15日制になって初の3場所連続全勝優勝を達成。連勝記録は史上3位の47に伸ばした。場所前、今回の件で心に「大きなひび」が入ったと語った白鵬。表彰式では、その目から涙が溢れ出た。「やっぱりこの国の横綱として、力士代表として、賜杯だけは頂きたく……」。今までとは質の異なる重圧をはねのけての優勝。苦悩が大きかった分、優勝の価値を実感できない無念さ、やるせなさを抑え切れなかったに違いない。辛うじて名古屋場所は幕を閉じたが、大相撲はこれからが正念場である。