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サイ・ヤング賞にはコレが足りない!?
ダルビッシュに課せられたある課題。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2013/05/10 10:30

サイ・ヤング賞にはコレが足りない!?ダルビッシュに課せられたある課題。<Number Web> photograph by Getty Images

2年目のレンジャーズで先発ローテーション2番手としてエース級の働きをみせるダルビッシュ有投手。地元メディアからもサイ・ヤング賞候補として、早くも名が挙げられている。

中継ぎ投手の負担を軽減させるのも先発投手の役目。

 5人の先発投手を中4、5日のローテーションで回すメジャー式では、投手の負担軽減のため球数制限があり、日本のように先発完投を求められていないのは今や日本でも周知の事実だ。

 だからこそ日本以上に中継ぎ投手の存在意義が高く、投球場面によってしっかりとした役割分担が確立しているのは前回の上原浩治投手に関するコラムで触れた通りだ。

 だからといって、162試合(強豪チームにはプレーオフもある)の長丁場で、ずっと中継ぎ投手をフル回転させるのは不可能だ。

 彼らにも何らかの形で休養をとる機会を設けなければならない。その役目を果たしているのが、各チームのエースといわれる存在の先発投手たちである。

 各チームの構成によって多少の差はあるものの、基本的に1番手、2番手といわれる先発投手がエースとして考えられている。

 彼らはシーズンを通してローテーションを守り続け、すべての登板で安定した投球と登板チームの勝機作りを期待されている。そしてさらに、少しでも長いイニングを投げ、中継ぎ投手の出番を軽減させることも、求められているのだ。

“年間200イニング”は真のエースの必須条件。

 そういう確固たる投手が存在しないと、中継ぎ陣はシーズンを通して安定的な投球ができなくなる。つまりエースと呼ばれる投手たちは、球数制限がありながらも先発完投に近い投球を常に求められており、中継ぎ投手を含めた投手陣全体に影響力を及ぼすことで、まさに大黒柱と呼ぶに相応しい存在となるわけである。

 かつてドジャース時代の黒田博樹投手が年間200イニングを目標に掲げていたが、この目標は、ある意味勝ち星や防御率以上に先発投手の大きな基準でもあるのだ。

 仮に33試合投げたとしてもすべて6イニング登板で終わったら200イニングには届かない。つまり200イニングに到達し、さらにそこから上積みした分だけ、エースとしてチームのために長くマウンドに立っていた証として賞賛を受けることになる。

 現在のレンジャーズのチーム状況(年俸等も含め)を考えれば、メジャー2年目とはいえダルビッシュがエース的な存在であることは間違いないし、また彼が真のエースとして君臨しなければ今シーズンの戦い方は厳しくなってくるだろう。ましてやサイ・ヤング賞を争うような投手になり得ることもない。

 そこで改めて真のエースの活躍度を見てみたい。

【次ページ】 数字からわかる、“三冠王投手”バーランダーのすごさ。

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