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熱血スポーツキャスターが
説く“挫折”との付き合い方。
~松岡修造・著『挫折を愛する』~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2013/04/29 08:00
『挫折を愛する』 松岡修造著 角川oneテーマ21 781円+税
リハビリ中の松岡を励ましてくれた少女がいたが……。
プロに転向して3年目。世界ランクも上昇し、さあこれからという矢先、両膝の半月板を損傷し、手術をすることになった。術後も膝の状態は良くならず、再手術をした病院で、ファンだという少女を紹介された。病室を訪ねると、その少女から満面の笑みで「私のぶんまで頑張ってください」と励まされた。「ありがとう。よっしゃ! きみのぶんも頑張る! きみも頑張ってね」と言葉を交わしてからしばらくして、松岡さんは少女の「死」を聞かされる。
白血病で余命2週間だった少女が、リハビリ中の自分を励ましてくれたことを知った。膝の怪我に苦しみ、「どうして俺だけこんなひどい目に遭うんだ」と被害妄想に陥っていた自らのふがいなさに直面した松岡さんはそれ以来、「本気で生きろ」と自らに問い続けている。
「あの少女との出会いは僕にとって大きなものでした。なぜ少女と出会えたのか。それは僕が求めていたからだと思うんです。
尊敬する哲学者・森信三さんがこんな言葉を残しています。“人は一生のうち、出会うべき人に必ず出会える。しかも一瞬遅すぎず、一瞬早すぎず。内に求める心なくんば、ついにその縁は生じざるべし”。どんな出会いも名言も、日々なんとなく生きていたら見過ごしてしまうのではないでしょうか」
失意のどん底で、挫折から這い上がるためには、“本気で生きること”が大切なのだ。