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“ナリタブライアン以来”はあるか!?
ロゴタイプの野望と大混戦の皐月賞。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Yamamoto
posted2013/04/13 08:00
皐月賞の2000mは未経験の距離となる2歳王者ロゴタイプだが、田中剛調教師は「2000mにも全然不安はない」と語っている。
今度もデムーロの手綱が日本競馬を席巻する!?
課題とされていた1ハロンの距離延長も問題にせず、これならさらに1ハロン延びる皐月賞でも大丈夫、というか、より力を発揮できそうに思われた。何より、4kg増えた馬体や余裕のある走りっぷりに、クラシックを戦ううえでももっとも重要な「成長」が見て取れたのが大きい。
この馬なら、ナリタブライアン以来19年ぶりの「2歳王者によるクラシック制覇」を見せてくれるかもしれない。
スプリングステークスはクリスチャン・デムーロが騎乗して勝ったが、皐月賞では兄のミルコ・デムーロに手綱が戻る。桜花賞でワンツーを決めたばかりのこの兄弟。今度は、バトンタッチで頂点に立ち、私たちは「またデムーロかよ」とため息をつくことになるのだろうか。
ナリタブライアンが本馬場入場の際に感じさせた“凄み”。
話は19年前にさかのぼるが、私がナリタブライアンを見て、
――「この馬がタイトルを総なめにするだろうな」
と確信したのは、ダービーの本馬場入場のときだった。東京競馬場には18万7041人もの観客が詰めかけていた。出走馬が芝コースに現れ馬名をアナウンスされると、そのたびに耳をつんざくような大歓声が浴びせられ、若駒たちは驚いて落ちつきを失っていった。
ナリタブライアンが現れたときには、それまで以上に大きな歓声がスタンドを揺らしたのだが、当のブライアンはピクリともせず、ゆっくり歩いて馬場入りした。そのあまりの落ちつきぶりに、一度「ワアアアア!」とヒートアップした歓声が、「ァァァ……」と萎み、やがてどよめきになった。
もしロゴタイプが本当にブライアン級の逸材なら、19万近い人間たちを黙らせた、あのブライアンのような大物感や凄味をどこかで感じさせてくれるはずだ。レースだけではなく、パドックや馬場入りのさいの表情や動きにも注目したい。