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斎藤佑樹は“荒木二世”なのか……。
プロ3年目に問われる復活の選択肢。
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![田口元義](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/5/-/img_75003d1c8e96afbf93ce622c330de78e8574.jpg)
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/02/05 10:30
![斎藤佑樹は“荒木二世”なのか……。プロ3年目に問われる復活の選択肢。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/1/700/img_61c96ed031826d28a91879bcf7caf9ca292595.jpg)
大谷らと一緒に2軍でキャンプスタートとなった斎藤。「手術はしない」という判断が、果たして吉と出るか?
イチローや山本昌も行う初動負荷トレーニングとは?
ウエイトと似た器具を使い、筋肉の反射を利用しながら瞬発力を高め、関節の可動域を広げるこのトレーニングは、パフォーマンス向上に結び付けた山本昌やイチローらによって、その効果は実証されている。
だからといって、誰しもが初動負荷で結果を得られるとは限らない。
山本昌も、「それは、当然そうですよね」と証言する。
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「それまで投げてきたなかで得た部分、無意識的に自分にとってベストな要素がピッチングフォームに組み込まれているはずなんですよ。僕は30歳を過ぎてから始めたんですが、そういう経験を経てから初動負荷を取り入れたので、それが結果的にここまで現役を続けられるひとつの理由になったのかな、とは思います」
初動負荷については、野球解説者の工藤公康氏もこのようなことを言っていた。
「トレーニングとしては理に適っているからいいと思うよ。ただ、筋肉を太くする、強くすることだけに目的が偏ってしまえば、関節の可動域も取れなくなるから、無理して続けると怪我の可能性も出てくる。初動負荷を信じて続ければ結果が出るかもしれないけど、すぐには出ないよ。だから、自分の身体構造やフォーム、年齢などを冷静に見極めて、トレーニングを選ばないといけないの」
徐々に悪くなっていった……成績と身体の具合。
ふたりの言葉から結論付ければ、初動負荷のトレーニングを導入しての成果は、今のところ斎藤には表れていない。それどころか、状況はますます悪い方向へ進んでしまっているようにさえ感じられる。
'12年、それが形となって表れてしまったからだ。
開幕投手に抜擢されるなど序盤は順調だった。ところが、前半戦が終わる頃に調子を落とし、7月末には2軍落ち。ファームでも打ち込まれる日が続き、終盤に1軍復帰を果たしたものの、復活をアピールすることは叶わなかった。5勝8敗、防御率3.98。成績は、全ての面で前年を下回った。
不調の原因。周囲から度々指摘され、本人も自覚しているように、投球フォームが安定しなかったことが第一に挙げられる。