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侍ジャパンのムードメーカー宣言!
松田宣浩、WBC日本代表への道。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byYuji Arakawa
posted2013/01/08 10:30
走攻守と揃った才能を持つ松田。チームメイトから“マッチ”と親しみを込めて呼ばれるほどの人気者になれるかどうかは、本番での活躍にかかっている!
国際大会で重要視するのは“データ”ではなく“感覚”。
そのキューバ戦では2戦ともスタメンでフル出場を果たした。しかし、結果だけを見れば6打数無安打と十分なアピールはできなかった。
それでも松田は前を向く。
「『歯が立たないな』とは思いませんでした。ボールの軌道は日本人ほどきれいじゃなかったですけど、打てなかったのは単純に怪我の影響で試合勘がなかっただけで。打席に立って相手チームの力を体感できたことのほうが、僕にとっては大きな収穫でした」
松田は過去の経験から、国際大会では詳細なデータや映像よりもグラウンドでプレーしたなかで得た感覚を大事にするという。
例を挙げれば、第2戦の3回に牽制死。周囲から見れば凡ミスなのかもしれない。だが、彼にとってこのワンプレーは、実に意義のあるものとなった。
それを松田は、こう解説する。
「日本人ピッチャーの牽制やクイックの精度は世界一かもしれませんけど、投げる直前に絶対に静止するから『このピッチャーは何秒』とかタイミングが取りやすいんですよ。でもキューバ人は、動きは雑だけどモーションは速い。そうかと思えば長くボールを持っていたり分かりづらいから、『1球目から盗塁できないかもしれない』と。盗塁に関しては、あっちも研究している印象を受けました。
ただ逆に、守備だと動きが遅かったり雑なんです。ランナー一塁のときワンヒットで三塁に行けたり、二塁からポテンヒットでホームに還りやすいな、と。僕は、何でもトライしないと始まらないと思っているんで、個人的な結果は出せませんでしたけど、色々と吸収できたからよかったです」
そこには、かつてジャパンに対して気後れしていた松田の姿はない。現在も、例年より1カ月早めのスケジュールでトレーニングに励み、「日本代表合宿でコンディションをMAXにします」と意気込みを強く語る。
WBCでの役割は「どんな形でも上位打線に繋ぐバッティング」。
松田がWBCで目指すのはサードとして全試合フルイニング出場。そして、下位打線でしっかりと繋ぐ打撃をすることだ。
「上位やクリーンナップを打つ選手はたくさんいますから、僕がスタメンで出るとすれば冷静に考えて7、8、9だと思います。ヒットでもフォアボールでも、どんな形でもいいから上位打線に繋ぐバッティングをする。その結果、下位打線の僕が首位打者になってもいいじゃないですか。僕が打てば相手チームも日本の下位打線を警戒するだろうし」