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なぜ、ザックはメンバーを固定する?
2013年も「耐える力」が鍵になる!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/12/24 08:02
2012年のザックジャパンの戦績は8勝2敗2引き分け。2月のW杯3次予選ウズベキスタン戦は、ホームでの唯一の敗戦となった。
森本貴幸は、「もちこたえる」ことができず……。
ケガ、構想外、サブ……。「耐」は決して簡単なことではない。
「ケガ」一つとってもそうだ。森本貴幸は、アゼルバイジャン戦で先発しながらも腰を痛めて途中交代。幸い軽症だったにもかかわらず、オマーン、ヨルダンの両試合でベンチにも入れなかった。万全とは見なされなかったからだ。森本自身、意気に感じて練習に取り組んでいたのだが、追い込まれたメンタルが逆に腰痛を悪化させた要因になったのかもしれない。
結局、チームから離脱してオーストラリア遠征に帯同しなかった。それ以降、森本は欧州遠征を含めて一度も代表に招集されていない。あそこでもし焦りに耐えて「もちこたえる」ことが出来ていれば、今なおザックジャパンの常連として名を連ねているはずである。森本の今後の巻き返しに期待したいと思う。
「若い選手たちは高いクオリティを有効活用できていない」
ザッケローニのメンバー固定化には、賛否両論というよりもむしろ「否」の声が多いかもしれない。
だがどうだろうか? 本田にせよ長谷部にせよ、苦境に追い込まれてもここ一番で踏ん張って、その座を明け渡さないのである。他のレギュラーにも同じことが言える。そして控えには、細貝のように高いモチベーションを保ち、耐えてレギュラー獲りを狙っている連中がいるわけである。「チャンスは与えられるものではなく、つかみ取るもの」という観点に立つなら、代表でレギュラーの座を狙いたければ本田、長谷部、細貝たちよりも当然、タフになっていかないと奪えるわけがない。
11月のオマーン戦に向けたメンバー発表会見でザッケローニはこう言った。
「若い選手たちは皆、高いクオリティーを持っていていい選手がそろっているのだが、(そのクオリティーを)有効活用できていない」
公の場で選手たちに苦言を呈するタイプではないだけに、ちょっと意外な気がした。ここでは宇佐美貴史らの名前が挙がったが、すべての若手に向けられた言葉であったように感じる。
君たち相当な気概を持ってやらないと、今の中心メンバーに置いていかれてしまうよ――。
筆者には、奮起を促す指揮官のそんな声が聞こえた。