フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
青木、尾崎、中嶋、奇跡の3ショット!
AONの会見にベテランの底力を見た。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2012/10/26 10:30
初日の同組対決は中嶋が73の6位と好発進。青木は79、尾崎は80をマークした。中嶋は予選を突破するも、3日目の最後の5ホールで6つスコアを落とし、「2人がいないと張り合いがない」と笑った。
青木と尾崎の微笑ましい!? 罵倒合戦に記者は大受け。
一方で尾崎は「スタート前はこの2人と回るのは迷惑だと思っていた」と突然言い出したりして、会見場の空気を一瞬だけぴりっと硬くさせた。だが、すぐにこう続けて笑いを誘うのだった。
「でも、上がってみたら俺がビリだ。いつもはミスを自分以外のせいにすることが多かったけど、最近は自分のせいばっかり。パットは打ったと思っても届かない。ラインが出たと思っても全然違う。みんな私が悪いんです」
「嘆くな、嘆くな」とすかさず青木がフォローを入れるものの、付け加えた一言が尾崎の神経を逆なでする。
「もう若くないんだ。今までいっぱい稼いできたんだから、こうしてお釣りが来るんだよ」
「あんたに負けたのが一番腹が立つんだよ! なんで負けなきゃいけないんだ」
あまりにストレートな返しに会見場は大爆笑となった。
尾崎は65歳となった今もシニアツアーに出ることなく、頑なにレギュラーツアーにこだわり続けている。AONと一括りで呼ばれても、今の自分は2人とは違う場所に立っているんだ。そんな意味合いを込めて「迷惑」という言葉を使ったはずだったが、「負けたら腹立つ」レベルの対抗心を隠しきれずに自分から晒してしまった。
「この2人と一緒だから耐えられた」(中嶋)
中嶋「あまりにタフなコンディションで途中で堪忍袋の緒が切れそうだった。他の選手じゃなく、この2人と一緒だから耐えられた」
青木「オレなんか疲れて明日起きられるか分かんないよ。ジャンボには負けたくないわ。中嶋君とはスコアで競ってるわ……」
尾崎「競ってねえよ!」
尾崎は青木の言葉にかぶせ気味に突っ込む。この後は実に子供っぽい、微笑ましいやり取りである。
「相変わらずええ感覚しとるよ。死ぬまで直らないな。トミー(中嶋)はベスト10を狙っていこうとしてるのに。トミーは2オーバーだろ。あんた(青木)いくつよ?」
青木の「8オーバーだよ」という返答に、尾崎は「ほら見ろ!」と喜色満面。ところが、「あんた9オーバーだろ」と突っ込まれると、今度は返す言葉なく「だから競ってるのはオレとあんた!」と苦々しそうに吐き捨てるのだった。