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若き天才トラウトと苦労人トランボ。
好調エンゼルスを牽引する“光と影”。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2012/08/08 10:30

若き天才トラウトと苦労人トランボ。好調エンゼルスを牽引する“光と影”。<Number Web> photograph by Getty Images

弱冠20歳でメジャーのスタメン定着を果たし、新人王候補となっているマイク・トラウト(写真左)。一方、マーク・トランボ(26歳)は、マイナーを経験し、およそ6年かけてようやくメジャーの舞台に。お互いが刺激し合い、チームの好調を支えている。

長いマイナー暮らしを経て、運と実力で掴んだメジャー。

 そんなトランボだが、シーズン開幕前にこれほどの活躍を期待されていたかと言えば、答えは“ノー”だ。

 昨シーズン初めてメジャーに定着し、打率.254ながら29本塁打、87打点を記録。しかしポジションが一塁だったことから、オフのプホルス獲得により、一時地元メディアからはトレードの噂まで囁かれていた。結局チームに残留したが、定位置は与えられないまま三塁の練習もさせられた(実際オールスター戦のファン投票でのトランボのポジションは三塁で登録されていた)。

 シーズン開幕を迎えた時点でも控え選手の扱いだった。しかし、当初は先発中堅手として期待されたピーター・ボージャス選手が深刻な打撃不振に陥り、さらに同じく打撃不振だったバーノン・ウェルズ選手の負傷による長期離脱で、運良く開幕から出場機会に恵まれ、そこから結果を残していった。

 5月上旬には5試合に先発出場し、すべて違うポジション(一塁手、三塁手、右翼手、左翼手、指名打者)ということさえあった。超高校級選手として2009年にエンゼルスからドラフト1位指名され鳴り物入りでプロ入りしたトラウトとは違い、アナハイムの地元高校から2004年にエンゼルスからドラフト指名されたが18巡目(全体の533番目)でしかなく、メジャーに昇格するまで約6年間をマイナーで過ごした苦労人である。

 2年前までならトラウトとトランボはまさに“光と影”ほどかけ離れた存在だった。

刺激を与えあう“光と影”が、エンゼルスを牽引する。

 しかし、2人の逸材は同時に光り輝き、間違いなく今シーズンのエンゼルスを牽引する力となっている。

 先の『スラムダンク』の比喩で言わせてもらえば、流川が桜木の成長にとって強烈な“刺激剤”であったように、トラウトはトランボを覚醒させるのに格好の存在になったようだ。実際トランボの成績は、トラウトがメジャー昇格した4月28日までは3本塁打、8打点だったのが、それ以降は本塁打を量産し、5月は7本塁打、18打点と今シーズンの活躍のきっかけをつくっている。

 そんな、トランボはトラウトに関してこう語っている。

「僕ら2人はとにかく負けず嫌いだ。とにかく毎日自分のプレーを向上させるのに、彼が本当に刺激になっている。彼にとっても自分がそういう存在であってほしいね。トラウトはまさにすべての武器が揃った才能溢れる選手で、これからさらに成長を続けていくだろう。この先長く彼の成長を見ていくのが楽しみでならない」

 残念ながら我々は、『スラムダンク』の流川、桜木が大人へと成長する姿(続編にあたる『あれから10日後』以降)を見ることはおそらくできないだろう。

 しかし、エンゼルスの逸材コンビの成長はつぶさに目撃することができる。さらなる成長を楽しみに、安西監督の心境のごとく2人を見守っていくことにしたい。

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#ロサンゼルス・エンゼルス
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