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チェコに完勝したポルトガルが見せた、
C・ロナウドという「矛」の活かし方。  

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/06/22 11:25

チェコに完勝したポルトガルが見せた、C・ロナウドという「矛」の活かし方。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合終了間際、チェフがコーナーキックのチャンスでポルトガルのゴール前に突進した! C・ロナウドも最後の詰めを怠らず、ディフェンスに集中する。

「チェコ、チェコ!」

 2012年6月21日、ワルシャワ、ナショナル・スタジアムの盛り上がりは最高潮に達していた。EURO2012の準々決勝第1試合は、ポルトガルがチェコを1-0でリードしたままロスタイムに突入。チェコは後半、唯一となるコーナーキックの機会を土壇場で得た。

 薄紫色のウェアを着たGKのチェフが、長身を揺らしながらゴール前に上がっていく。最後のチャンスに賭けるためだ。9割近くの観客はチェコに声援を送り、固唾を飲んでプレーの行方を見守った。

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 だが次の瞬間に訪れたのは、完全な肩透かしだった。

 コーナーキックは狙いを大きく外れてファー側に飛んでしまう。あわやポルトガルがカウンターからダメ押しの2点目を奪うのではないかと、肝を冷やすような場面さえ訪れた。

 この場面は実に象徴的だったといえる。

 チェフが攻撃に参加するという大ギャンブルに出てさえ、チェコに得点が生まれそうな雰囲気は感じられなかった。チームは守るための「盾」を持っていても、得点するための手立てを欠いていたからである。対照的にポルトガルにはロナウドという強力な「矛」があった。そして彼らは勝利した。

幾度かは良いカウンター攻撃を見せたチェコだったが……。

 この試合、ポルトガルは4-3-3、チェコは4-2-3-1と4-1-4-1のハイブリッドのような陣形を敷いている。

 メンバーは共にグループ最終戦と同じ。つまりチェコは2戦目のギリシャ戦で負傷したゲームメイカー、ロシツキーを欠いたまま試合に臨むことになった。

 試合は意外なことに、チェコのペースで幕を開ける。

 ポルトガルの3人のMFは決して守備の意識や連動性が高くない。加えてチェコはポルトガルよりもMFが2枚多いため、中盤でパスをインターセプトし、何度かカウンターの形を作ることができた。

 だが、時間の経過とともに流れを引き寄せていったのはポルトガルだった。

【次ページ】 前線にボールを供給さえできれば勝てるポルトガル。

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#ペトル・チェフ

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