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決勝敗退でも五輪出場。
最重量級が抱える焦燥。
~“日本柔道の看板”の危機~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2012/06/04 06:00
優勝を期待された上川(左)だったが、大会初出場の七戸に一本負け。
それは寂しい光景だった。
5月12・13日、柔道のロンドン五輪代表最終選考として行なわれた全日本選抜体重別選手権(以下、選抜体重別)。最終日、男子100㎏超級の決勝が終わると、観客席からは落胆のため息が聞こえてきた。
今大会、「どちらが出ても金メダル」と言われる代表候補2名のいる女子48kg級とは別の意味で関心を呼んだのは、100kg超級の代表争いの行方だった。このところの国際大会で誰が出場しても結果を残せず、見通しが立っていなかったからだ。
混迷に輪をかけたのが、4月29日の全日本選手権だった。100kg超級の代表選考においては選抜体重別以上に重みのある大会である。ところが五輪出場資格の得られる世界ランキング22位以内にいる上川大樹、鈴木桂治、高橋和彦がそろって敗退。優勝は40年ぶりに重量級以外の選手というありさまに終わる。