フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
無敗王者のチャンを下した高橋大輔。
2年ぶりに取り戻した自分への信頼。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/04/24 10:30
会心のフリーが終わった直後の高橋大輔。「最後まで、気持ち良く、楽しく滑ることができて嬉しいです」と笑顔で語った。
来季の大勝負はチャンの地元・カナダのオンタリオ州で。
もっとも、来季は地元開催のプレッシャーと後押しを受けるのはチャンの番だ。
来シーズンの世界選手権は、カナダのオンタリオ州ロンドンで開催される。五輪前年の世界選手権という大切な大会で、日本の選手たちは最大のライバルの地元に乗り込み、いわば「敵地」で戦わなくてはならない。チャンがそこでいい滑りを見せたなら、ジャッジはさぞかし気前よく点を出すことだろう。
高橋も、そのことをよくわかっている。
「気持ちを緩めないようにしないと。今回はパトリックがパーフェクトに滑った中での勝利ではないので。二人ともパーフェクトだったらやはりまだ彼が上にいくと思う。来季はフリーで4回転を2本入れていきます」
試合の翌日、高橋はそう語った。
チャンに勝利したことで来季のジャッジにも好影響が!?
この国別対抗はまだ開催2回目の団体戦でもあり、さほど重要な大会ではない。だがここでチャンに勝ったという実績を作ったことで、高橋は来シーズン、精神的にも対等な立場で戦いに挑むことができるだろう。国際ジャッジも「あのチャンに勝った高橋」という目で彼を評価するようになる。
その一方、久しぶりに2位に甘んじたチャンも、気合を入れて再調整に取り組んでくるに違いない。たとえチャンが完璧に滑っても負けたくないと思うのなら、高橋が言うようにフリーで4回転を2度入れることは、必須条件となる。
ソチ五輪まで、あと2年をきった。来季も熾烈な白熱戦が期待できることは間違いない。