青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
日本とアメリカを股にかける石川遼。
米ツアーの大改革は有利か不利か?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2012/03/28 10:30
フロリダ州オーランドのベイヒル・クラブで行なわれたアーノルド・パーマー招待は、通算5オーバー293で53位タイに終わった。
石川遼がついに噂の彼女をともなってツアー会場に現れた。
前週の試合で予選落ちしていたにもかかわらず、恋人に見守られたアーノルド・パーマー招待の練習ラウンドは、どこかうきうきしている様子がうかがえた。ファンの色紙に走らせるペンの動きは軽やかで、記念写真を撮るときもつい笑顔がこぼれてしまう。
石川の運転する車の助手席には毎日、当たり前のように彼女の姿があった。
「特別な意味はないです。たまたまこのタイミングだっただけです」と照れ笑いを浮かべていたが、これまで窮屈な思いをしてきたであろう20歳の青年には、堂々と恋人と一緒に行動できるだけで心が浮き立つのも自然なこと。若い2人にとって今大会は一つのいい思い出になるのかもしれない。
今季の石川が米ツアーに軸足を置くべき理由とは?
ただし、この試合で石川にとって最も重要だったことは彼女の初帯同ではない。カットラインぎりぎりでもどうにか予選を突破し、賞金1万3760ドルを獲得できたことだった。
3月上旬のプエルトリコ・オープンで米ツアー自己最高の2位となった石川は規定の賞金額に達し、年間出場試合数制限が解除される米ツアーの特別一時会員となった。米ツアーのシードラインは賞金ランク125位。昨年の数字を基準にすれば石川はあと約7万ドル、安全圏とされる80万ドルを基準にするならば約21万ドルが必要である。
まだシーズンは前半戦で高額賞金の4大メジャーも残っていることを考えれば、シード獲得はかなり期待できる。ただし、トランジションズ選手権ではいいところなく予選落ちし、アーノルド・パーマー招待も低空飛行が続いた。米ツアーでの石川の戦いぶりはまだまだ頼りないだけに、そう悠長には構えていられないのも現実である。
推薦をもらって出場できる試合があるのならば、早めのシード確保のためにできうる限り積極的に参戦していくのが得策。さらに言うなら、シードを確実にした後でも今季は米ツアーに重点を置いていっていいと思うのだ。