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“奇跡の復活”よ、もう一度……。
アビダルが挑む肝臓腫瘍との戦い。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2012/03/22 10:30

“奇跡の復活”よ、もう一度……。アビダルが挑む肝臓腫瘍との戦い。<Number Web> photograph by AFLO

バレンシア戦でメッシ、セスクとともにゴールを祝うアビダル。ライバルを率いるモウリーニョも温かい応援メッセージを送っている。

 17日に行われたセビージャ対バルセロナ戦の試合前、ピッチに入場したバルセロナの選手達は青色のTシャツを着ていた。その胸には次のメッセージがプリントされていた。

「ABI !!! TORNARÁS A GUANYAR !!!!(アビ! お前はもう一度勝つ!)」

 もう一度――。

 1年前の3月19日。ホームにヘタフェを迎えたリーグ戦で、バルサの選手たちは同じく青色のTシャツを着てカンプノウのピッチに現れた。そしてその胸には、「TESTIMEM ABI(お前が好きだ、アビ)」とのメッセージがプリントされていた。

 その2日前、エリック・アビダルは肝臓腫瘍の摘出手術を受けていた。この時、医師が見積もった復帰までに要する期間は約5カ月。つまりシーズン中の復帰はまず不可能なはずだった。だが、その後彼は驚異的な回復を見せ、手術から僅か1カ月半後の5月3日、チャンピオンズリーグ準決勝第2レグのレアル・マドリー戦で終了間際に途中出場を果たしたのだ。

 そして5月28日、マンチェスター・ユナイテッドとのCL決勝で先発フル出場を果たしたアビダルは、バルサの2年ぶり4度目となる欧州制覇に貢献した。プジョル主将の粋な計らいにより表彰台でビッグイヤーを高々と掲げた瞬間、彼は人生最大の勝利を手にした男として世界中の人々に感動をもたらしたのだった。

“奇跡の復活”を果たしたアビダルにつきまとう病魔。

 しかし、アビダルの闘いには続きがあった。

 今季もプレシーズンからチームに合流した彼は、これまで通り左サイドバックとセンターバックをこなすマルチなプレーヤーとしてほぼ毎試合バルサの先発に名を連ねた。そのパフォーマンスはキャリア最高の時期を過ごしていると言われた昨季前半と比べてもそん色なく、1月には32歳にして最大2015年まで延ばせる契約延長を勝ち取ったほどだ。

 だが、その陰で彼は復帰後も継続的に検査に通い、複数の薬を日ごろから服用することで腫瘍の再発防止に努めていた。にもかかわらず、今回の再発を防ぐことはできなかったのだ。移植手術を受ける他に腫瘍の進行を防ぐ方法はない。そう宣告されたのは、ほんの数週間前のことだ。

【次ページ】 プジョルは「今回も病気を克服する」と信じ続ける。

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#バルセロナ

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