日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザックが探し続ける遠藤の後継者。
ボランチの扇原貴宏は最有力候補!?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/12/01 11:20
アウェーのバーレーン戦、ホームのシリア戦ともに、存在感をシッカリ出していた扇原貴宏。欧州クラブのスカウト達も試合を見学に来ており、高い評価を与えていた
日本代表は先の北朝鮮戦で2011年のスケジュールを終えた。来年1月は強化合宿を行なう予定もない。1月に代表活動が入らないのは2007年以来5年ぶりだという。しかし今年の活動が終了したからといって、代表スタッフがひと足早くオフをとるわけではない。精力的に視察を続けるアルベルト・ザッケローニはブラジルW杯アジア地区最終予選を迎える2012年を見据え、ロンドン五輪最終予選の日本―シリア戦にも足を運び、スタンドから熱視線を送っていた。
「若い選手が代表に入ることでチームはフレッシュになるし、(チームに)いい新陳代謝が生まれるはずだ」
8月にこう発言した指揮官は、五輪世代を積極的にA代表に引き上げてきた。最初からA代表に固定している香川真司は別としても、清武弘嗣を筆頭に原口元気、権田修一、酒井宏樹、宇佐美貴史たちを招集してきた。8月の札幌合宿では永井謙佑や東慶悟ら五輪の主力メンバーを大量に呼んでテストしている。
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3次予選のアウェー2連戦(タジキスタン、北朝鮮戦)では清武、原口の2人の招集にとどまったが、五輪予選を突破してロンドン五輪本大会を終える2012年下半期になれば「ロンドン世代」がA代表に数多く食い込んでくるのは間違いない。この五輪最終予選シリア戦でも、指揮官は新たな人材を探していた。
背番号「3」のボランチにザックの熱視線!?
この日のシリア戦は2-1で勝利したものの、相手のフィジカルに押されてしまうなど課題が多く見つかった試合内容だった。現時点でA代表にすぐに引き上げていいと思えるほど出来の良かった選手は、いなかったように感じた。ただ、ザッケローニがきっと興味を持っただろうな、と思えた選手はいた。
ボランチでプレーした背番号「3」、扇原貴宏である。身長183cm、左利きのパサータイプ。まだ20歳になったばかりだ。
セレッソ大阪で今年8月から出場機会を得るようになった新星。10月のジュビロ磐田戦では2ゴールを奪った。五輪代表でも9月のマレーシア戦から今回のシリア戦まで3試合連続で先発。完全なレギュラーとは言い切れないが、注目株の一人だと言っていい。
ボールタッチの柔らかさ、間の取り方は遠藤保仁のにおいを感じさせ、とにかくよくボールに触る。縦にクサビを入れておいてリターンを受けてからサイドに渡して相手を崩しにかかるなど、扇原を中心にしてパスが回されていた。