欧州サッカーのサムライたちBACK NUMBER
ようやく復調してきた「優しい男」。
内田篤人の声に出さない忍耐力。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byBongarts/Getty Images
posted2011/11/23 08:03
9月下旬から11月上旬まで、「歩くだけで痛いくらい」のケガによって公式戦から離れていた内田篤人。11月中旬にはフル出場も果たすなど、現在はほぼ完璧な回復ぶりを見せている
「オレ、本当に苦しいときに苦しいって言えない」
「自分のやり方を見せて、それに監督がどう反応するかで考えていけばいい。最初から相手のことを考えて自分を変えるということはない」
かたくなに自分に固執するでもなく、かといって最初から鵜呑みにすることもしない、内田流の新監督の受け入れ方のようだ。
現在、ブンデスリーガもシーズンの約3分の1を終えた。ウインターブレイクの前に、内田もようやく先発復帰、そして定着という流れに乗ることができそうだ。ここまでの数カ月を振り返って言う。
「オレ、本当に苦しいときに苦しいってメディアには言えない。言えるやつって逆に強いなって思うんだよね。そうやって仲間が弱音はいてる様子とか見ると、オレまで応援したくなる。今苦しいんだろ? がんばれって思っちゃうもん。でも、オレはそれが無理なんだよな」
自分が苦しかったとは言わない。でも、素直じゃないことは、素直に認める。そんな柔軟性が、実は内田の強さなのかもしれない。