球道雑記BACK NUMBER
怒涛の追い上げも届かず……。
埼玉西武がシーズン終盤戦に見た夢。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/11/11 10:30
今季開幕前から右肘の痛みに悩まされていたという涌井。5月時点で既に分かっていたという肘の遊離軟骨だが、このオフの手術で除去することが決定している
CSで敗れたとはいえ、今季、西武は大きく成長した。
ここ最近の西武といえば良くも悪くも明るいポップなイメージのある球団だった。
あと一歩で勝ち切れない要因として、若い選手が多いチームのメンタルのひ弱さを指摘する声も数多く聞かれていた。しかし、今季終盤戦になるとそうした声も徐々に消え失せ、CSが終わった今では全く聞かれなくなった。
終盤戦の西武のベンチに目を向けると中島、中村、栗山の三人が固まって、なにやら話している姿をよく見かけた。
彼ら三人の周りにはえもいわれぬ緊張感が漂い、その周囲を原拓也、銀仁朗、浅村栄斗、秋山翔吾といった若手が囲み、彼らの話す声に耳を傾けた。ベンチが一体となっている証拠。
「(福岡ソフトバンクとの)差は大きいが埋められない差じゃない。来年に向けチームを壊すくらいの気持ちでやっていく」
渡辺監督は来季に向けてそう口にした。
どん底の苦しみを味わった男たちは、きっと大事な何かを掴んでいるはずだ。