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仙台が“第二の故郷”になった理由。
楽天・山崎武司、涙の退団の経緯。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byRakuten Eagles

posted2011/10/17 12:00

仙台が“第二の故郷”になった理由。楽天・山崎武司、涙の退団の経緯。<Number Web> photograph by Rakuten Eagles

10月10日の試合後、「山崎コール」が響き渡るなか、集まった大勢のファンを前に、山崎武司は涙ながらに別れの挨拶を行なった

Kスタで起こった「今まで見たことのない光景」とは?

 試合後に起きた出来事は、球団関係者いわく「今まで見たことのない光景」だった。

 Kスタ宮城の正面入り口一帯がファンで埋め尽くされている。全員が、山崎を最後まで見届けたいと待ってくれていたのだ。

「あれはねぇ……ちょっと、なんだろうなぁ……すごいとしか言えない。本当にありがたい。選手にしてもさ、鉄平、嶋、青山……特に厳しくした奴らが涙を流してくれていて。『早く出ていけ』と言われるかと思っただけに、嬉しかったよねぇ」

 穏やかな表情を浮かべながら、山崎は言葉を繋いだ。

「チームが弱い時期から7年間やってきたけど、俺は本当に仲間やファンに恵まれたと思っている。その想いはまだ消化されていないんだよ。楽天ではもう、現役選手としてユニフォームを着られないけど、他のチームのユニフォームを着てでもまた仙台に戻ってきたい。仲間とファンに会いたい。それが一番の恩返しになると思っているんだよね」

来シーズン、またグラウンドで会いましょう!!

 現時点では、「古巣・中日が獲得か?」という報道もあるが、憶測の域は脱していない。山崎本人もそれは理解しているが、11月24日に行なわれる合同トライアウトには参加しない。「自分の力量は他の球団だって十分に分かっている」というのが理由だ。

「年俸うんぬんより、まずはどの球団でもユニフォームを着ること。それが第一。そのために、故障した箇所をしっかりとケアしながら就職活動していくから、はははは」

「また、グラウンドで」。そう伝えると、山崎はニヤッと相好を崩した。

「そうなるといいけどねぇ」

 しっかりと地に足をつけ、のっしのっしとゆっくり打席へ向かう。

 そんな山崎武司の姿を来年も見たい。いや、必ず見られる。

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山崎武司
東北楽天ゴールデンイーグルス

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