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MMAの世界基準で日本が変わる!
2012年2月、UFC日本大会開催へ。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/09/13 10:30
9月6日、UFC日本大会開催の記者会見には日本のトップファイターが集結した。写真左から山本“KID”徳郁、福田力、五味隆典、岡見勇信、マーク・フィッシャー(UFCアジアマネージングディレクター)、秋山成勲、小見川道大、日沖発、水垣偉弥
どうやらこれは、単なる格闘技の大会ではないらしい。
来年2月26日、さいたまスーパーアリーナで開催されるUFC(Ultimate Fighting Championship)日本大会は、経済の面からも語られるべきメガイベントだというのだ。9月6日の開催発表で、UFCアジアマネージングディレクターのマーク・フィッシャー氏は言った。
「ラスベガスで開催された『UFC100』は地元経済に5100万ドルの経済効果をもたらしました。オーストラリアでの2度のイベントによる経済効果は3000万ドルを超える規模。同様の経済効果が期待されるイベントをさいたまスーパーアリーナで開催できることを嬉しく思います」
日本中から、あるいは世界中からファンが訪れる。ホテルや飲食店、交通機関にお金を落とす。その額はざっと数十億円。UFCの首脳陣は、本気でそう考えている。
全世界を席巻している最大のMMA団体がついに日本上陸。
UFCは、言うまでもなく世界最大のMMA(総合格闘技)団体である。
会場は常に満員、PPV(ペイ・パー・ビュー=有料放送)でも巨額の利益をあげ、アメリカだけでなくイギリス、アイルランド、ドイツ、アブダビ、ブラジルでも大会を成功させた。PRIDE、STRIKEFORCEなど競合団体を買収することで勢力はさらに増し、この秋からは全米4大ネットワークのFOXでも中継が始まる。
そんなUFCが日本大会開催を決めたのは、格闘技マーケットが冷え込んでいるといわれるこの国でも「勝算あり」と踏んだからだろう。
約2万の客席を埋めるためのターゲットには、今の格闘技ファンだけでなく、かつてPRIDEやHERO'Sに熱狂した潜在的格闘技ファンも含まれているはずだ。
「格闘技? 昔はよく見たけど……」という人々を冬眠から目覚めさせる“武器”を、UFCは持っているのだ。