野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
森ガール、山ガールの次に来るのは、
“カープガール”って本当か!?
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byCARP-girl-CARP
posted2011/08/16 12:35
“Cガール”のひとりである大井智保子さんは、ファッション誌での読者モデル以外にも、“PinkBull”というユニットでDJをやったり、「Marblee(マーブリー)」というアパレルブランドでプロデュース活動に携わるなど、とにかく活動的
主役が野球をやらない野球マンガ『球場ラヴァーズ』。
さて、最後に紹介するのは、野球マンガなのに主役が野球をやらないという、スタンド視点の超画期的野球マンガ『球場ラヴァーズ』(少年画報社、ヤングキングアワーズで連載中)である。
この漫画の主役は東京に住む野球素人の女子高生。ドームのレフトスタンドで熱狂的カープファンの女性2人との出会いから次第にカープにのめり込んでいき、カープ的熱血エピソードを交えながら人間として成長していくという、カープガールの教科書としてはもってこいの秀作。
熱く感動的なカープ的エピソードとそれにまつわるファンの心情をよく描いてくれているこの作品に、今年で36歳になるオッサンはこれまでに何度涙腺を崩壊させられたか。それもそのはず、この作者石田敦子さん(北別府派)は筋金入りのカープファンなのである。
しかし、なぜ、カープガールを主役にした作品を作ろうとしたのだろうか?
「次回連載のネタをどうするか、といった話し合いの時に少年画報社の雑誌編集長が『石田さんは野球が好きなんだから、野球ものを描けばいいじゃん』と提案してくれたんです。ただ、私は野球が好きなだけでまったく詳しくないんです。昔から知識はないけど愛はあるという立ち位置だったもので『野球ものはきっと描けません、野球観戦ものなら描けます。例えば、球場でしか会わない女性たちの話や野球に絡めたその人達の話ならば……』と答えたら、『じゃ、それで!』とあっさり決まりました。懐深い編集部に感謝です」
野球の知識は無いけれど……“カープ愛”だけで描かれるマンガ。
この作品の根幹を築いているのは溢れんばかりの“カープ愛”である。カープという球団には作品として成立する熱いエピソードが豊富なこともあるだろうが、広島県出身で物心ついた時から生活の中にカープがあり、カープと共に成長してきたという石田さんだからこそできた作品だと言えるだろう。
「私が小学校の時にカープは初優勝をしました。広島が赤く染まった熱い記憶です。うちの父がカープの大ファンで、いつもほとんど話をしない無愛想な父なんですが、カープの事には熱く、初優勝のグッズなどいろいろ買い揃えていました。その時に出たムックなどを読み込んだ所からが私の出発点だと思います。どれだけ苦しい日々を越えての優勝だったか、創立を知らない私でも泣けましたね。
女子校に通っていた時も周りは普通にカープファンが多かったので、体育の時間には、よく『大野!』、『池谷!』って投げ方を真似していました。会話の中の数字は背番号に置き換え、日本シリーズは授業中にこっそりラジオを聞き、放課後はカープ大好きな化学の先生と化学準備室でテレビを観ました。そんな子供時代~青春時代を過ごしたので、カープというチームそのものが自分の中にあるのが当たり前といった感じです。なので自ら集めた知識は無いんですね、基本は愛だけです。そこに少し勉強した事を加えて、『球場ラヴァーズ』を描いています。
私自身も今年はマツダ・千葉QVCマリン・横浜・ナゴヤ・神宮・Kスタと行きましたが、日本中の球場に行って応援したいです。そして応援の面白さを漫画で伝える事が出来たら幸せです」
こんなに女性たちから愛を注がれるカープが正直羨ましい。
熱い男と熱い女がスタンドでスクワット乱舞する真夏のペナントレース。20年ぶりの優勝に向かって、男汁ほとばしらせるカープナイン、そして、カープガールたちの動向にも注目したい。