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菊池雄星の本棚から、
その“大物”ぶりが見える! 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2009/12/19 08:00

菊池雄星の本棚から、その“大物”ぶりが見える!<Number Web> photograph by KYODO

菊池の契約金は1億円(出来高5000万円)。契約金の上限が1億円(出来高5000万円)に規定された'94年以降では、松坂、ダルビッシュらと並ぶ7人目となる快挙

「相手が悪いと思っていても、自分が悪かった、って先に言う」

 そんな菊池と接していると、これは豊富な読書体験とどこまでの因果関係があるのかは不明なのだが、小さな仏様と会話をしているような心持ちになってくる。厳かさに心が引き締まるといった種類のものではない。ぽかぽかと心が暖かくなり、幸福感に包まれる、そんな感覚だ。

「この話は秘密ね、って口止めされても、言う言わない以前に、そういう話があったことさえ、忘れちゃうんですよね」

 度量が大きいのか、単純に忘れっぽいだけなのか、そのあたりが見えない。でも、だからこそ、変な添加物の味もせず、心地よく胃袋に収まるのだ。

「喧嘩とかしても、そのときはムカツクけど、次の日はいいや、ってなっちゃう。こんなことしていても、意味ないな、って。モヤモヤして気持ちが悪いんで、長期戦にはしたくないんです。だから、相手が悪いと思っていても、自分が悪かった、仲直りしよう、って先に言う」

 この話を聞いたときなどは、以降、人間関係で心が荒立ったり、ささくれ立ったりするたびに何度つぶやいたことか。意味ない、意味ない、意味ない、と。それこそ、呪文のように。私にとっては、前記した2冊以上に菊池の話の方が自己啓発になった。

プロ野球選手としての菊池はどんな言葉を残してくれるのか?

 菊池の野球選手としてのパフォーマンスはもちろんのことだが、それと同時に、これから菊池が語ってくれる言葉の方にも興味がある。

 プレーで見せる、確かにそれも1つのスタイルだが、菊池には、グラウンド外でも多いに楽しませて欲しいものだ。

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菊池雄星

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