野球善哉BACK NUMBER
丸佳浩、藤村大介、熊代聖人……。
平成生まれが野球界に吹き込む新風。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/07/20 12:35
プロ4年目の広島・丸佳浩は、7月19日現在、打率.266、本塁打5本を記録。盗塁も7をマークするなど、走攻守そろった選手として広島のレギュラーに定着している
オールスターゲーム最後の出場者を決める「プラスワン」に彼の名はなかった。
今季の広島において、チームトップの5本塁打を記録し、栗原に次ぐ24打点(数字は全て7月19日時点)をたたき出している丸佳浩のことである。
今季の丸は開幕一軍入りを果たし、4月17日の巨人戦にスタメン出場。同19日の横浜戦ではプロ初本塁打をマークし、この活躍を機にレギュラーを獲得した。「苦しいチーム事情の中でも、しっかりやってくれている」。野村監督の評価も上々である。
右投左打特有のミート力に長けたタイプでありながら、長打力を併せ持っている。また、千葉経済大付高時代にはエースとして140キロ台を投げ込んでいたという肩は守備でも生かされ、攻守に高いパフォーマンスを発揮している。
さらに、そのキャラクターも面白く、初のヒーローインタビューとなった前出の横浜戦では「顔のでっかい丸です」と自己紹介したかと思うと、6月16日楽天戦、本拠地・マツダスタジアムでお立ち台に上がった時には「実はそんなに大きくないような気がしてきました」と笑いを誘った。
もっとも、プラスワンの選出が巨人・澤村拓一だったことに異論があるわけではないが、4年目にしてクリーンアップを務めることが多い丸には旬の香りさえ感じる。実力・キャラクター性ともに、オールスターに選ばれても何ら不足はなかったのではないか、と。
ここ数年、若い世代の台頭が球界に新風を吹き込んでいる。
丸の登場で、改めて思うのはここ数年の若い世代の台頭の目覚ましさだ。
40歳代が活躍する「ベテラン力」も魅力的だが、丸のような若い世代の活躍は野球界に新風を吹き込んでいる。どのチームを見ても若手が台頭し、チームに活気を与えているのだ。若手世代の代表として、田中将大(楽天)や斎藤佑樹(日ハム)の世代が挙げられることが多いが、丸ら新世代の台頭が見逃せなくなっている。
4年目22歳の丸は、中田翔、由規、唐川侑己のいわゆる「BIG3」世代だ。実は、丸だけに限ったことではなく、「BIG3」世代の今年は一軍での活躍が目覚ましい。巨人・藤村大介、西武・熊代聖人、ソフトバンク・岩嵜翔、オリックス・伊藤光らが、「BIG3」に追いつこうと、輝きを放ち始めているのだ。
「同世代の中で、一番の活躍をする選手になりたい」
巨人・藤村は憚ることなく、同世代へのライバル心を口にしている。'07年の高校生ドラフト1巡目の藤村は今年5月10日に初の一軍昇格を果たして以降、一軍での奮闘が続いている。全試合スタメンとまではいかないが、7月18日の中日戦まで7試合連続安打を記録した。打率は.210と低調ながら、10盗塁を記録しているところからも分かるように、彼の特筆すべきは脚力である。