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迷いの中で最下位に苦しむ東北楽天。
勝つために取るべき打開策と荒療治。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/02 08:00
6月25日には2打数2安打、2盗塁を記録した楽天・内村賢介。小兵ながらも俊足を生かしたしぶとい打撃でレギュラー定着を狙う
楽天が苦戦している。パ・リーグ6球団の月別成績を紹介しよう。
4月 | 5月 | 6月 | 計 | |
---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 8勝 6敗 | 18勝 4敗 | 10勝 6敗 | 36勝16敗 |
日本ハム | 10勝 5敗 | 13勝 8敗 | 11勝 5敗 | 34勝18敗 |
オリックス | 5勝11敗 | 10勝12敗 | 11勝 3敗 | 26勝26敗 |
西武 | 4勝10敗 | 13勝 7敗 | 6勝 9敗 | 23勝26敗 |
ロッテ | 9勝 7敗 | 6勝11敗 | 7勝 9敗 | 22勝27敗 |
楽天 | 9勝 6敗 | 7勝14敗 | 6勝 9敗 | 22勝29敗 |
4月は東日本大震災の被害を受けた球団、という「災い」を「勢い」に転化して勝ち越した。実際、4月の楽天には勢いがあった。
4月2日に行われた12球団による慈善試合、日本ハム対楽天戦では試合前、選手会長の嶋基宏が次のようなスピーチをして、ファンの喝采を浴びた。
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「(前略)地震が起きてから眠れない夜を過ごしましたが、選手皆で『自分たちに何ができるか』『自分たちは何をすべきか』を議論し、考え抜きました。今、スポーツの域を超えた野球の真価が問われています、見せましょう野球の底力を、見せましょう野球選手の底力を、見せましょう野球ファンの底力を(後略)」
開幕試合のロッテ戦を6対4で勝ったとき、星野仙一監督は涙を流して喜んだ。勝利投手になった岩隈久志も、「東北で頑張っている皆さんとつかんだ勝利だと思います」と目をうるませた。
そういう選手とファンの熱気は下位に低迷する現在も続いていて、嶋はオールスターファン投票の最終中間発表で捕手部門の1位になっていたほどだ。当時、16万6901票という投票数は投手、野手を含めた全部門のナンバーワンであった。その時の打率.191を考えれば、震災後の毅然とした態度や発言が支持された結果としか思えない。
勝利のための方法論を確立できない楽天の迷いと苦しみ。
しかし、一時の勢いだけで試合に勝つことはできない。勝つためには方法論がいる。現在の楽天はそこに迷いがある。まず、6月24、25日に行われた西武戦のスターティングメンバーを見てみよう。
(9) 鉄平
(8) 聖澤諒
(6) 松井稼頭央
(D) ルイーズ
(5) 草野大輔
(4) 高須洋介
(3) ガルシア
(7) 牧田明久→25日は中村真人がスタメン
(2) 嶋基宏
この中で目を引くのは2番を打つ聖澤の25盗塁だ(6月26日現在)。
これはリーグ1位の数字で、後に続く2、3位が昨年の盗塁王、本多雄一(ソフトバンク)の19個と片岡易之(西武)の15個。これだけで、聖澤のすごさがクローズアップされるだろう。