Column from GermanyBACK NUMBER
ブランド選手より真剣勝負を見たい。
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byGetty Images/AFLO
posted2005/07/26 00:00
日本の単独チームとの対戦は30年ぶり。28日と30日、都内で試合を行なうのだが、前売券の販売状況は芳しくない。当日券がかなり売れたとしても、恐らく観客席は半分も埋まらないだろう。残念である。
地味なイメージが染み付いたドイツのチームだから、マンUやバルサと試合日が重なっているから、レアル・マドリードを見たあとだけに出かける必要もないんじゃないの……と、それぞれ理由はつけられるだろう。でも欧州じゃ、マドリードでもどこでも相手がバイエルンであれば切符は完売。カーン、バラックしか知られていない日本と違って、マカーイ、ルシオ、ピサロ、シュバインシュタイガーへの注目度は抜群だ。それだけバイエルンというのは別格の存在なのだ。
でもドイツ蔑視派とも言うべき一部の評論家やマスコミは「バルサ、レアル、マンUは6万人も集まった。やっぱり違うよな、2万人足らずのバイエルンとは」となるはず。
おいおい、ちょっと待て!
スター選手の来日約束を平気で反故にしたり、適当に汗かいているのが見え見えの彼らになぜそんなにいれ込むのかいな?相手はこちらのことなんか、鴨ネギか金ツルにしか思っちゃいない。ドサ周りにしては結構稼げる国、だからクソ蒸し暑いのも我慢できる──、その程度の認識なのに。自分たちがバカにされても、お目当ての「ブランド」とお近づきになれただけで喜ぶなんてのは、自虐の感性でしかない。
こうした日本側の事情を誰よりも理解しているのがバイエルンだ。彼らは言う。「我々は日本を対等のパートナーとして見ている。試合にはレギュラー全員を出す。力は抜かない」
真夏の顔見世興行に高い金払うんだったら、絶対に真剣勝負が見たい。全力で走らないブランド選手を見たって感動はない。だったらここは、無冠のチームなんかより、2冠の王者を見に行こうぜ。アメリカ経由で来るより時差ぼけも少ないだろうし。
バイエルンのポテンシャルを日本のファンは知らなすぎる。チーム力、財力、政治的影響力、そして日本と真の友情関係を築こうとする戦略を。とくに最後の項目には要注意である。だって、この部門の責任者はかの“日本通”マーティン・ヘーゲレなんだから。
記者の職を辞してまでバイエルンでの仕事を選んだ私の盟友ヘーゲレ、バイエルン、そしてドイツサッカーの底力は侮れない。
そこで私、安藤はこんなことを考えました。
「ミュンヘンに住んでみよう」
では出発します。8月2日から私、ミュンヘンで暮らします。ただし、3ヶ月だけどね。