ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
敵地クウェート戦の敗北で再び露呈。
2次予選を突破したU-22代表の欠点。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/06/24 12:15
2次予選を突破はしたが、キャプテンの山村和也をはじめとしてどの選手も「パスの悪さ」と「相手にゲームを支配される時間が長かった」ことをコメントしていた。「日本は個性を持ってプレーしていた。何より予選を突破したことが収穫です」と、試合を観戦したザッケローニ日本代表監督は語ったが……
相手が押してくると、押されたままになってしまう……。
相手が前に出てくると、どうしても受け身になってしまう。
しかも押されたまま押し返すことができない。流れを変えたり、タメをつくってリズムを変えたり、それをやってやろうという気配も選手からあまり感じられなかった。
それだけに、前半22分の酒井宏樹の先制ゴールは、プラン通りの攻撃パターンでの得点だったので、それまでバタバタした選手を落ち着かせてくれるはず……と思ったのだが劇的な変化にはならなかった。
失点後の動揺がハッキリ見てとれる、ナイーブなメンタル面。
懸念していたナイーブなメンタルも露呈してしまった。
後半5分、14分と立て続けに失点し、逆転された。動揺は容易に見て取れ、多くの選手が下を向いてしまっていた。
こういう時にこそ肝っ玉の座った選手を出し、士気を高めるべきだったが、関塚監督は相手の中盤の圧力に押され続けたボランチの交代を優先させた。選手があれだけ疲労し、動けない中では、個人で突破できる選手が必要になる。原口元気など個人突破できる選手を起用すべきだと思ったが、ボランチ交代のメッセージにより、選手は点を取ることよりも取られないことにプライオリティーを置いて戦うようになっていった。
結局、日本は流れを掴み切れず、さしたる抵抗もできないまま1-2で敗れ、得失点差で2次予選突破を決めた。
負けると穴ばかり見えてしまいがちだが、最終予選を前に、課題が見つかって良かったとも言える。
特に、今後の戦いに不安を残したのは、厳しいプレッシャーの中でボールを保持することができなかったこと、落ち着いて回すことができなかったことだ。このことは、チームのスタイルの根幹に関わる部分だが、修正には時間がかかりそうだ。