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NBAスカウトが語る「NBAでプレーする条件」 

text by

小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

PROFILE

posted2006/05/08 00:00

──レポートは、どれくらいの分量ですか?

 これは一般的な情報として言うが、4〜5ページくらいだね。それプラス、特に重要な選手については、さらに3ページ。だから、合計7ページぐらいと思ってもらえればいい。

──選手のランキングも作りますか?

 その時々による。チームによって補強ポイントは違うから。単純に動向を追うときもあれば、特定の選手を徹底的に調べることもある。欧州のバスケットについて書くこともあるから、1年の半分をアジアと欧州で過ごしているよ。

──選手を見るときに、最も注目する能力は?

 コーチをしている時、私はいつもディフェンスの重要性を説いている。だから、すごく言いづらいけれど……スカウトとして最初に注目するのはオフェンス能力だ。NBA選手のディフェンスはすさまじいから、とてつもない得点力、シュートチャンスを生み出す能力が必要になる。その選手が誰とプレーしているのか、ということも重要だね。良いチームとマッチアップしなければ、その選手の真価はわからない。弱いチーム相手に40点とるよりも、NBA入りが濃厚な選手を相手に20点をとる方が、はるかに評価が高い。それから、大切なのは、現時点の能力ではなく、その力をNBAにどうつなげていくか。たとえば、3ポイントシューターを見るとする。その際に、シュートのうまさは問題ではない。NBAのレベルで、NBAの3ポイントラインからシュートを決められるかどうかを見ている。

──スカウトとして選手を評価する上で、年齢的な上限はありますか?

 残念だが、我々が見るのは潜在能力だ。十代の選手には伸びる余地がある。身長面でもそれが言える。たとえば、デビッド・ロビンソンは、海軍士官学校で10センチ以上背が伸びた。23、24歳になった選手にそれは起こらない。潜在能力のリミットが見えてしまう。

──上限は22歳ぐらい、ということですか?

 もちろん、はっきりとは言えないよ。だが、ある年齢を超えると、それ以上能力は伸びないものさ。NBAドラフトのエントリー資格を持つのは、19歳から。大学で4年間過ごした選手は、ドラフト時に22歳だ。だから、NBAが本当に興味があるのは、19〜21歳までの選手であり、我々はそのあたりを集中的にスカウトしている。それより上の年齢になると、ドラフト外のFAでNBAを目指すしかない。エイブリー・ジョンソンのように20代後半でNBA入りした選手も多いが、我々スカウトは主にドラフトのために動いているから……。チャンスは常にあるよ。でも、そのチャンスは非常に小さい。

──スカウトの視点で、日本のバスケットの印象を聞かせてください。

 一番の問題は、日本人選手が「NBAでプレーする」という視点を持っていないこと。たとえば、2メートルの選手は、日本ではセンターを務めている。それ以外のポジションをプレーするチャンスはほとんどない。NBA選手になりたいのなら、「どのポジションを練習すべきか」を考えねばならない。もちろん、チーム事情もあるだろうが、チャレンジする場は用意してあげるべきだと思う。

 日本人が優れているのは、スピード。すごく速いね。でも、速いだけではだめだ。速さをコントロールすることを学ばねばならない。田臥勇太がサンズにいた頃、地元紙に、田臥はスローダウンを学ぶ必要がある、という主旨の記事が載った。それが、ほとんどの日本人選手に言えることではないだろうか。

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