EURO2004 ポルトガル日記BACK NUMBER
国境の街に見たポルトガルVSスペイン
text by
カイ・サワベKai Sawabe
photograph byKai Sawabe
posted2004/06/22 00:00
イベリア半島のダービー戦、スペインvsポルトガルを前にして、車で国境を越えてスペインへ入ってみた。ポルトガルへ入るのには、欧州各国間では廃止されていた国境でのパスポート・コンロールが、大会期間中はテロ防止のために再開された。出国に際しては、チェックなんぞないに等しい。
ポルトガルの安い物価に早くも慣れてしまったので、越境後すぐ、コーヒーの値段が2倍近くするのに面食らった。(味はポルトガルの方がスペインのより2倍以上ウマイ!)さらに、街が新しく、大きいのにも唖然とした。住宅街の歩道では、日曜日の朝8時半を回ったばかりだというのに、老若男女がこざっぱりはしているが洗いたての服装で、思い思いに散歩やジョギングに精をだしていていた。その30分前、国境向こうのポルトガルでは、山のてっぺんにある函館の五稜郭内にアパートが詰め込まれたような町で、早起きし過ぎて手持ち無沙汰にしている老人がポツリポツリと街角に見かけられただけなのに比べると、「これが同じ”国境の町”か?」と思わされる。
スペインの「アスタ・マニャーナ」はどこへ行っちゃんたんだ??
このスペインの街を車でノンビリつっきり、町がとぎれると(と言っても時間はたいしてかからない)同じ道を戻ったが、たまに「エスパーニャ!!」と声をかけられるのに気がついた。若者だけではなく、朝の散歩なのにピシッとしたカッコで、美しい奥さんを同伴する40歳前後の紳士までが、「エスパーニャ!!」とこちらに向かってこぶしを振り上げる。
僕はユーロ主催国ポルトガルに敬意を表して、多くのポルトガル人がやるように小さなポルトガル国旗を車のアンテナにつけて走っていたのだが、これを見つけた人たちが、その夜のダービー戦を前に挑発してきたのだ。まぁ向こうにとっては、こちらが「わざわざ国境を越えて挑発しに来た」みたいなもんだろう。(車の運転手は日本人だとは知らんだろうから・・・・)
国旗を見つけるなりその夜の「サッカー」の試合を思い出し、自国の名前を高々と叫ぶ。対抗意識から出るものだとしても、敵意もなく攻撃的でもない。どこかにユーモアが隠れている。
日韓戦当日の朝、北九州あたりで同じ行為を一人の韓国人がやったら、日本側の住人はどういう反応を示すだろうか?
「たかがサッカー、されどサッカー」イベリア半島のダービー”前哨戦”には、スポーツが感じられた。