Number Do MoreBACK NUMBER
<『山と溪谷』編集長の「山」論> 神谷有二 「山ブームに思うこと」
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byMiki Fukano
posted2011/05/26 06:00
登山=スポーツと考える人もいますが、僕は文化だと。
ただ僕自身は頂上を目指さなくてもいいと思う。もちろん体力や技術の話もあるけれど“成長”って言葉と関係ない楽しみ方もできるんです。体力がなければ自分のペースで登ればいいし、スケッチをする人、短歌を詠む人、岩登りや沢登りからピークを目指す人、百名山から低山まで、裾野は広くて、なんでも楽しめる。
スポーツ的な部分はあります。でもそうじゃないところに意味や価値があるんだと僕は思う。登山=スポーツと考える人もいますが、僕は文化だと。自然学、人文、歴史、民俗、そういうことも全て含めて山だと思っています。成長を目指すジャンルもありますが、それよりもストーブでゆっくりとお湯を沸かして、自然のなかで食べるカップラーメンやコーヒーのおいしさ! 「これがおいしいんだよな~」って楽しんでいる人の話を聞くと、それが許される遊びって素敵だなって思いますよ。この前見た男の子は、ひとつひとつの分岐や小さなピークごとに三脚を出して、自分の写真を撮ってたんです。ブログに載せるんでしょうね。気持ち悪いなと思いつつ(笑)、達成感だって人それぞれ。それも山の楽しみ方のひとつの象徴なんです。
◇ ◇ ◇
◆愛用の山グッズ
バックパック 日帰りから1泊2日の登山にはマックパックのカカポ25。 コットンっぽいのに、防水性も高い。 少し重いけど、25Lという容量の割にはシュラフやマット、 食糧、ダウンまで意外と入ります。 |
|
アルコールストーブ 山でお湯を沸かすガスストーブの音って、かなり大きいんですよ。その点、このエバニューのチタンアルコールストーブはとにかく静か。組み立て式なので持ち運びにも便利です。 |
|
◆初心者にオススメの山 | |
仏果山 神奈川県・丹沢の東のはずれにある標高747mの低山。おすすめはヤマザクラが見頃を迎える4月下旬。登山道もきちんと整備されているので、家族連れにも登りやすい山です。 |
|
八方尾根 長野にあるこの尾根は、ゴンドラで上がれます。眼前には白馬連峰が広がり、南には八ヶ岳連峰などの山々も見渡せて、アルプスの縦走気分が味わえます。写真は八方尾根から見た白馬山。 |
|
尾瀬ヶ原 7月~10月下旬がおすすめ。湿原を抜けると、景色がぱ~んと開けて……言葉じゃ伝わんないな……。でも本州であの広がりが感じられるところはなかなかない。花豆のジェラートもぜひ。 |