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PRIDE王者の慢心か、五味隆典まさかの敗北。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2006/04/20 00:00
ありえないことが起こってしまった。まさかとしかいいようがない。PRIDE武士道の'06年第1戦(4月2日・東京)で、PRIDEでデビューして以来、10連勝をマーク、昨年大晦日には日本人初のPRIDE王者になった“天下無双の火の玉ボーイ”五味隆典(木口道場レスリング教室)が、“伏兵”マーカス・アウレリオ(ブラジル)の肩固めの前にPRIDE初黒星を喫してしまった。しかも、プロデビュー以来、極め技一本負けを喫したのは今回が初めて。ノンタイトル戦とはいえ、ファンや関係者に与えたショックは大きい。
決戦5日前の公開練習で五味は“燃え尽き症候群”を口にしていたが、その不安は現実のものになってしまった。もともと五味は高いモチベーションを燃焼させながら練習して試合に臨むタイプ。PRIDEライト級王座を目指しているまでは良かったが、その頂きに登頂してしまった現在、ポッカリと心の中に穴が空いてしまった。燃やすものがなかったら、中身の伴った練習などできるわけがない。「頭ではわかっていても、体がついていかなかった」という試合後のコメントが全てを物語っている。