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「藤浪から『メンタル』の言葉が出てくるとは…」藤浪晋太郎に密着7カ月、関西テレビアナ・服部優陽が語る「メジャー1年目の“藤浪進化論”」

posted2024/02/28 06:03

 
「藤浪から『メンタル』の言葉が出てくるとは…」藤浪晋太郎に密着7カ月、関西テレビアナ・服部優陽が語る「メジャー1年目の“藤浪進化論”」<Number Web> photograph by Yuhi Hattori

約7カ月に渡って藤浪晋太郎を密着してきた関西テレビアナウンサーの服部優陽。休職し渡米して見えたこの1年での藤浪の変化とは?

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堀尾大悟

堀尾大悟Daigo Horio

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Yuhi Hattori

 今年ニューヨーク・メッツでメジャー2シーズン目を迎える藤浪晋太郎。昨年、先発から中継ぎ降格、移籍、地区優勝と激動の1年を過ごした藤浪に密着したのが、関西テレビのアナウンサー・服部優陽だ。全米を東奔西走しながら藤浪を追い続け、見えてきた変化とは――。(Number Webインタビュー全3回の第3回/初回はこちら)

「メンタルも、技術なんやな……」

 2023年5月のある日。試合終了後、球場から藤浪の車に乗せてもらい2人で帰っているとき、運転席の藤浪がボソッとつぶやいた。

「メンタルも、技術なんやな……」

 その言葉に、服部は驚かされたという。

「日本での彼は、不調をメンタルのせいにするのを誰より嫌っていました。『体・技・心』の順で考えていて、メンタルに至るまでの『体』と『技』が大事なんだと。技術が精神を凌駕するのだと。その男から『メンタル』の言葉が出て、びっくりしましたね」

 聞くと、その当時の藤浪はボラス事務所のメンタルコーチからアドバイスを受けていたという。指から離した後のボールは自分にはコントロールできないから、ボールを指から離すまでの過程に意識を集中する。頑なに否定していたメンタルを「精神論」ではなく、コントロール可能な「思考法」ととらえ直す――それが、藤浪のいう「メンタルも技術」の真意だったのだ。

「最終的に彼は、ボールから指を離すポイントという最小単位にフォーカスを絞っていましたね。あの頭でっかちな男がここまで思考をシンプルにできるのか、と。アメリカってすげえな、と思いましたね(笑)」

藤浪からのLINE「トレードになりました」

「メンタルも技術なんやな」とつぶやいた日と前後して、藤浪は本来の力を発揮し、輝きを取り戻していく。セットアッパーに転向してからは安定した成績を残し続け、5月12日のレンジャーズ戦では初勝利。7月4日のタイガース戦では圧巻の3者連続三振で5勝目を挙げ、勝ちパターンの一員としてチーム内での存在感を高めていった。その活躍につれて、スタンドで見守る服部の応援にもいっそう熱がこもった。

 そして、7月19日。藤浪から届いたLINEに、服部は一瞬目を疑った。

「ボルチモアにトレードになりました」

【次ページ】 アメリカ大陸を横断する“引っ越し”

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藤浪晋太郎
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