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中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」 

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/02/07 11:02

中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

イラン戦で試合終了間際にPKを与えてしまった板倉滉。コンディションに問題を抱えていたのか、いつになく不安定なプレーぶりだった

 バーレーン戦で一度試していたのですから、森保監督もCBの投入は考えたに違いありません。ただ、試合の状況が違います。同点で後ろの枚数を増やすという判断は、非常に難しいところでした。

 監督采配については、板倉を下げるべきだったのでは、との声もあがりました。

 今大会の彼はケガ明けのコンディションで、グループステージ終盤には体調不良に見舞われました。さらに、バーレーン戦の終盤に左足を打撲していました。メディカルスタッフのGOサインを受けての出場だったのでしょうが、万全ではなかったと思われます。

 CBを交代させるのは、交代枠が「5」でも熟考を要します。ましてやイランに押し込まれているなかで途中から出場した選手は、ファーストプレーから緊張感に包まれます。ここもまた、難しい判断だったと思います。

日本はイランほどの執念をもって戦っていたのか

 終了間際のPKでリードしたイランは、試合終了とともに感情を爆発させました。涙を流している選手もいました。

 彼らはまだ、何も手にしていません。ベスト4入りが決まっただけです。それにも関わらず、喜びを大爆発させた。アジアカップで3度の優勝を誇るイランが、どれほどの思いをこの試合に注いでいたのかが分かりました。

 不格好でもいいから、何としても日本に勝ちたい。ただその一心で、彼らはプレーしていたのだと感じました。

 ひるがえって日本は、イランほどの執念をもって戦っていたのか。試合後の冨安は「勝ちへの執着心が足りなかった」と話しています。実際にピッチで戦った選手からそのようなコメントが出ることが、すべてを表わしているのではと感じました。

 執着心や執念がときに見えにくいのは、フル代表に限らず日本のサッカースタイルそのものかもしれません。さらに言えば、アジアにおける日本の立ち位置が、そうさせたのかもしれません。

<後編へ続く>

#2に続く
遠藤航の代役不在、“世界基準”ゆえの縛り…中村憲剛が切り込む“森保ジャパンの敗因”「アジアの戦いは難しい、で終わらせてはいけない」

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