だが、1試合ごと、あるいは1場面ごとに先の試合を気にせず全てを懸けてくるチームに何度も追い込まれ、頂点まで辿り着くことは叶わなかった。自分たちをチャレンジャーに位置づけるチームの熱量の方が大きいのは仕方のないことだが、クオリティでそれを抑え込み、主体的に上回ってみせなければ強者であり続けることはできない。

日本は強者としての戦いに慣れていなかった

　すでに戦術面や精神面での様々な原因が議論されているが、個人的に最も残念なことは、国内外から過去最高の評価を得ていたチームが、「強者らしい振る舞い」を見せた試合の方が少ないまま大会を去る結末になってしまったことだ。アジア最強であるはずの日本を倒すために心血を注いで向かってくる各国に対し、W杯をはじめ世界の舞台でチャレンジャーとして積み重ねてきた結果でその評価まで辿り着いた日本は、強者としての戦いに慣れていなかった。

リーダーシップを発揮した冨安健洋はさらなる成長を誓った　©Masashi Hara

「良くないときに、それすら帳消しにしてしまう、超越した選手になるのもひとつの手」

　冨安はそんなコメントも残した。

　苦い経験を各々が持ち帰り、今回の前評判を超える史上最強のチームと評価され、その評価通りに前人未到のステージに辿り着いてみせたとき、ようやく今回のアジアカップは日本代表にとって重要な意味を持つことになる。彼らならきっとそうしてくれる、と期待したい。