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大谷翔平が6年間で急上昇「メジャー打球速度ランキング」ライバルはジャッジ、鈴木誠也も適応…「WBC最速185km」村上宗隆の課題は?

posted2024/01/24 11:04

 
大谷翔平が6年間で急上昇「メジャー打球速度ランキング」ライバルはジャッジ、鈴木誠也も適応…「WBC最速185km」村上宗隆の課題は?<Number Web> photograph by CTK Photo/AFLO

WBCイタリア戦での大谷翔平と村上宗隆。メジャー最強クラスの大谷に、日本人スラッガーはどれだけ近づけるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 MLBが公式サイトのSTATS(記録)欄で「スタットキャスト」というデータを公表し始めたのは、2015年からである。

「スタットキャスト」は、実際の試合で選手が投げたボール、打った打球の速度や飛距離など様々なデータを瞬時に計測し、データ化したものだ。シーズン中は日々刻々とそのランクが変化していく。

 スタットキャストは、弾道測定器「トラックマン」と光学高精細カメラを組み合わせる。それによって投球だけでなく打球、選手の動きなどをすべてデータ化し、解析することを可能にした。

 システムは2014年の試験運用に続き、2015年にはMLB全30球団に設置された。2020年、MLBはスタットキャストのトラッキングシステムをトラックマンからホークアイに切り替えた。

 ホークアイは、複数台のカメラが捉えた映像からボールの軌道を再現し、コンピュータグラフィックスとして瞬時に表示する。トラックマンと同様の弾道計測技術を使用しているが、システムの構成は全く異なっている。トラックマンと異なり映像で選手のパフォーマンスをとらえるので、情報量ははるかに大きくなった。

 スタットキャストのデータはMLB全30球団で共有されているだけでなく、公式サイトで広く公開されている。だから一般のファンも含めて、選手のポテンシャルを最新のデータで把握することができるのだ。

“打球の初速”は非常に重要な指標となっている

 数あるスタットキャストの指標のなかでも打球の初速「Exit Velocity」は非常に重要な指標になっている。

 昨年のWBCの試合前の打撃練習で、大谷翔平の打撃練習を見た村上宗隆がトラックマンのデータの数値を知って大ショックを受けたのは有名な話だが、大谷は村上が出したことのないような初速で、ボールを飛ばしていたのだ。

「フライボール革命」では、打球速度が速ければ速いほど、本塁打、長打になる確率が高いゾーン=バレルゾーンが広くなるとされる。大谷翔平が、打ちそこないのような反対方向の打球でも本塁打になるのは、打球速度が圧倒的に速いからだ。

 反対に言えば、どんなに巧みにミートする打者でも、打球速度が低ければよい打撃成績は残せないということになる。

最速、平均トップ10ともに大谷がランクイン

 スタットキャストによれば、2023年度の打球速度最速(Max)の上位10人は、以下のようになっている。100BBE(=Batted Ball Event/フェアゾーンに飛んだ打球数)以上の両リーグ403人での順位で、さらに平均打球速度とその順位も示した。

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