巨人軍と落合博満の3年間BACK NUMBER

日テレアナが絶叫「落合!落合やった!」あの落合博満40歳が弱気になった巨人1年目「中日には負ける…」どん底を救う「忘れられないホームラン」

posted2024/01/14 11:01

 
日テレアナが絶叫「落合!落合やった!」あの落合博満40歳が弱気になった巨人1年目「中日には負ける…」どん底を救う「忘れられないホームラン」<Number Web> photograph by KYODO

巨人1年目の1994年、打率.280で15本のホームランを放った落合博満(当時40歳)

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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KYODO

40歳での鮮烈なFA宣言、巨人へ電撃移籍した落合博満……1993年12月のことだった。
あれから30年。巨人にとって落合博満がいた3年間とは何だったのか? 本連載でライター中溝康隆氏が明らかにしていく。連載第11回(前編・後編)、優勝へ余裕と思われた巨人がピンチに……。落合すら弱気になるなか、「忘れられないホームラン」が飛び出す。【連載第11回の後編/前編へ】

◆◆◆

「超大物OBが怒り爆発!」

 皮肉なことに、巨人の独走Vかと思われたセ・リーグのペナントレースが最終盤にもつれたことにより、世間のプロ野球に対する注目度は格段に上がっていた。「長嶋巨人に超大物OBが怒り爆発! 激辛対談 別所毅彦vs張本勲」(週刊ベースボール1994年9月26日号)、「長嶋監督が“気分はV”のノーテンキなナインに激怒!」(週刊現代1994年10月1日号)と各メディアは競うように報じ、この年の巨人戦平均視聴率は23.1%を記録。木村拓哉主演のテレビドラマ『ラブジェネレーション』(1997年フジテレビ)では、「今年はジャイアンツが優勝できませんでしたので、後半の景気がかなり落ち込むと思われます」という会話が広告代理店内で交わされるシーンがあるが、90年代の日本において長嶋巨人にはそれだけのネームバリューと影響力があった。

 9月下旬、「今年は不思議な現象で、2位チームが大事なときに負けてくれる」と長嶋監督は口にしたが、打撃不振の巨人に付き合うように、広島も正念場で痛恨の4連敗。代わって23日からの広島対中日戦で3連勝した中日が2位に浮上してきて、首位巨人に1ゲーム差と急接近だ。この頃、ナゴヤ球場の球団事務所内の日程予定表には、10月23日以降に「日本シリーズ」と新たに書き込まれたという。

「中日には負ける」落合ですら弱気に

 そして、9月27日から3連敗中の巨人と6連勝中の中日が、ナゴヤ球場二連戦で激突するのだ。渡邉恒雄社長も「貴ノ花の横綱より、巨人の優勝のほうが心配だよ」なんて26日の横綱審議委員会で口にする大一番。まさに雌雄を決する天王山を前に、落合はナインに向かって、こうゲキを飛ばした。

「こんなに連敗ばかりしても、まだうちが首位だ。だから焦らずやろう。10ゲーム差をつけようが0.5ゲーム差で逃げきろうが優勝は優勝。最後に頭ひとつ抜け出ていればいいんだから、己の力を信じて戦おう」(野球人/落合博満/ベースボール・マガジン社)

 誰の目にも勢いは追い上げる中日にあるのは明らかだったが、初戦の27日は雨天中止。その中止分は翌々日の29日に順延された。日本列島に台風26号が接近しており、東海地区の空模様は荒れていた。

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