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休部が相次ぐ社会人野球だが…「私、チアリーダーやってみたいです!」企業が野球部を持つ意味はあるか? JRの車掌さんが大声で応援するチーム

posted2023/12/24 17:04

 
休部が相次ぐ社会人野球だが…「私、チアリーダーやってみたいです!」企業が野球部を持つ意味はあるか? JRの車掌さんが大声で応援するチーム<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今年のドラフト会議。阪神から5位指名を受けたJR西日本の石黒佑弥投手。現役駅員として働いていた

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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Sankei Shimbun

近年、休部や統合が相次ぐ社会人野球。企業が野球部を持つ意味はどこにあるのか? 50~60人の社員が応援団になり、熱心に硬式野球部を後押しするというJR西日本に聞いた。【全2回の前編/後編も公開中】

◆◆◆

もはや「愛社精神」は死語なのか?

「愛社精神」などというものは、もはや昭和の遺物なのかもしれない。社員は家族、みたいな空気感は鬱陶しいばかりだし、みんなで社員旅行なんてのも時代遅れ。半ば強制参加の忘年会も、コロナ禍のうやむやで「ないほうがいいよね」という声が大勢を占めるようになってきた。社員は当たり前のように転職するし、会社もいつリストラをするかわからない。家族だ、愛社精神だ、という時代は終わっているのだ。

 ……と、ありきたりなことを言ってみたが、果たしてそれは本当なのか。たとえば、社会人野球の日本選手権や都市対抗野球。スタンドに足を運ぶと、出場チームの応援団をはじめとする社員たちがスタンドを埋め尽くし、声を揃えて野球部の応援を繰り広げている。選手名のコールにとどまらず、応援歌や社歌まで声を揃えて歌っている。こうした光景をみれば、愛社精神、やっぱりまだまだ健在なんじゃ、などと思うのである。

 社をあげての応援は、社会人野球ならではの雰囲気でもある。プロ野球の応援とも、はたまた高校野球や大学野球とも違う。なかには全国大会だけでなくその地方予選や練習試合にまで足を運ぶほど熱心な社員もいるのだとか。それってただの野球好き……といわれるかもしれないが、“自分の会社の野球部を応援する”という行為は、端から見れば愛社精神そのものだ。

 彼らは、どんな思いで“我が社の野球部”を応援しているのだろうか。今回、JR西日本硬式野球部の応援団に話を聞いた。といっても、応援団は野球部と違って常設の組織ではない。結成・活動するのは都市対抗と日本選手権の予選・本大会(出場できれば)の4大会だけだ。

野球部の選手と“同じ職場で働く”

「応援団のメンバーは、基本的に野球部のある中国統括本部(広島、岡山、米子)の本部内で働いている人が中心です。各部から希望している人を推薦してくれて、あとは現場などでも知り合った人同士のつながりから、『やってみない?』と。勤務の関係もありますし、もちろん私用もありますから、応援は行ける人だけが参加する、という形です」

 教えてくれたのは、中国統括本部経営企画部で人事を担当している山本秀祐さん。応援団では、マイクパフォーマンスを担う。

【次ページ】 「私、チアやってみたいです」

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