「マイケルさんみたいにプレーするにはどうしたらいいですかと聞いたら、タックルして、起き上がって、走って、またタックルして、というのをアフターでやろうと。それをやるようになってから、コンディションが上がったと言っていました。僕自身、疲れに対する耐性がついていきましたし、これを続けたらマイケルさんみたいになれるんじゃないかと感じました」

「ここまで来られたのは、ホントに奇跡」

　結果的に2022-23シーズンのリーグワンで、リーチはチームの全16試合で背番号8を着けた。フルタイム出場は11試合を数えた。ボールキャリーはリーグトップを記録し、オフロードパスで6位の数字を残し、ゲインメーターでもトップ10に名を連ねた。

　ジェイミー宛てのメールは、送信されなかった。

「ここまで復活するとは思わなかった。手術をして自分がやりたいプレーができなくて、ホントに引退しようと思っていました。それでもどうにか頑張ってここまで来られたのは、ホントに奇跡だと思っています」

　ここまで3試合を終えたW杯で、リーチはチリ戦とイングランド戦にフル出場し、サモア戦は75分までプレーした。3試合すべてで6番を着けている。

サモア戦の32分にトライを決めたリーチ マイケル　©Kiichi Matsumoto

　プレータイムが長いだけでなく、ワークレートも高い。タックル成功はチリ戦で15回、イングランド戦とサモア戦で18回を数えた。フランカーにとって重要な数字と言われるタックル数は、3試合合計でチーム最多を記録している。

　チリ戦では6度のボールキャリーで、35メートルのゲインを記録した。いずれもチームで5番目の数字だ。

　サモア戦では8度のボールキャリーで、65メートルのゲインを生み出した。どちらもチーム3位の数字だ。

　東芝ブレイブルーパス東京の府中グラウンドでひたすらに、ひたむきに流した汗が、W杯でチームの支えとなっている。アルゼンチンとの決戦でも、リーチはタックルを相手に突き刺し、すぐに起き上がり、走って、またタックルをするのだろう。

＜ワーナー・ディアンズ編に続く＞

（文中敬称略。取材協力：東芝ブレイブルーパス東京）