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岡田武史(66歳)はなぜFC今治高校を作ったのか? 批判も覚悟で「俺も踏ん切りをつけないと…」「別にサッカーをやる学校じゃない」

posted2023/07/23 17:01

 
岡田武史(66歳)はなぜFC今治高校を作ったのか? 批判も覚悟で「俺も踏ん切りをつけないと…」「別にサッカーをやる学校じゃない」<Number Web> photograph by 学校法人今治明徳学園

FC今治会長を務める岡田武史の肩書きに「FC今治高校学園長」があらたに加わった

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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学校法人今治明徳学園

 今年1月に完成した今治里山スタジアム。自前で建設費40億を調達するという高いハードルをFC今治会長の岡田武史はいかにしてクリアしたのか。スタジアム建設に込めた想いと”単なるJクラブではない”FC今治の理念とはーー。後編ではFC今治高校の開校と66歳での新たな挑戦について語った。<NumberWebインタビュー全2回の後編/前編は#1へ>

岡田武史、66歳からのチャレンジを決意

 忙しい人は、これまで以上に忙しくなる。

 FC今治会長、日本サッカー協会副会長、Bリーグ理事……いろいろとある岡田武史の肩書きにまた一つ追加された。それは「FC今治高校学園長」だ。

 今年、創立117周年の愛媛県今治市にある学校法人「今治明徳学園」がFC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツとともに矢田分校を2024年4月からFC今治高校里山校として開校すると発表したのが4月。本校の今治明徳高校も、FC今治高校明徳校に改称される。

 少子化、過疎化の影響で今治市の高校も定員割れが課題となっているなか、打診は以前からあった。岡田はFC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツの事業として、しまなみ野外学校や、バリチャレンジユニバーシティなど教育にも取り組んできた。学園の理事も務めてきたなかで、自分の役目だと捉えるようになった。

 66歳からの新しいチャレンジを決意する。

「ここ今治で新しい共助のコミュニティをつくるのが自分たちの夢。そのためのリーダーを育てていくには、今までにない教育をすることも必要だと感じてはいた。学校が定員割れしているのであれば県外からも学生を呼ばなきゃいけなくなるだろうし、寮をつくる気はありますかと(今治明徳学園の)村上(康)理事長に尋ねたら“やりましょう”と。ならば俺も踏ん切りをつけないといけないなって(打診を)引き受けることにした」

 校名も変更することになり、候補には「未来学園」などもあった。何か引っかかった。いつもアドバイスをくれる鈴木寛東京大学教授に「やっぱりFC今治高校しかないんじゃないですか」と言われると、「やっぱりそうだよな」と思えた。勝負に出るなら、それしかなかった。

「別にサッカーをやる学校じゃない。でもその名前だと確かに動くインパクトはある。この校名にするなら、今治里山スタジアムと同じでまた全部俺が背負いこまなきゃいけなくなるけど(笑)。でも中途半端に関わるんじゃなくてそこまで覚悟しなきゃダメだよってスズカン先生に言われた気がしたよ」

素人が教育に手を出すことへの批判も覚悟

 ひと息ついてから岡田が言葉を続ける。

【次ページ】 素人が教育に手を出すことへの批判も覚悟

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