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落合博満がまさかの「(松井は)ヘタ」発言…松井秀喜が明かした“3年間だけの師弟関係”「落合さんにはボロカス言われましたから(笑)」

posted2023/06/28 11:01

 
落合博満がまさかの「(松井は)ヘタ」発言…松井秀喜が明かした“3年間だけの師弟関係”「落合さんにはボロカス言われましたから(笑)」<Number Web> photograph by KYODO

1953年生まれの落合と1974年生まれの松井。約20歳の歳の差がある“師弟関係”だった

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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KYODO

松井秀喜と落合博満。1990年代の巨人の主軸を託された若武者と打撃職人。じつは2人の間には、スタイルの違いを超えた師弟関係が存在した。過去に松井自身が語っていた、落合から教わった“究極のバッティング理論”とは?【全2回の2回目/#1へ】 (初出:Number751号/2010年4月1日発売 肩書などはすべて当時のものです。)

◆◆◆

「落合さんはファウルがスゴい」

 巨人のチームメートとして過ごした3年間、松井は、あるときはベンチから、あるときはネクストバッターズ・サークルから、そしてあるときは塁上から、落合の打撃をつぶさに見続けてきた。その松井の目から見て、落合の打撃の真髄はどう映ったのだろうか。

「凄いのはボールをバットに当てる技術。そしてその凄さを一番感じるのが、実はファウルを打ったときなんです」

 松井は落合の打席を述懐する。

「嫌なボールは全部、一塁側にファウルにする。しかもそのファウルを全部、芯で捕らえて打っているのが凄い。そうしてファウルを打つことで、投手との勝負でチャンスをどんどん広げていく。だんだんとピッチャーを追い込んでいって、いつの間にか立場が変わってしまうんです。あれは凄かった。もちろん選球眼がいいのもあるんですけど、やっぱり追い込まれても、際どいところを全部ファウルにできる技術があるからこそ、できることだと思いますね」

 その技術は、松井には真似のできるものではなかった。松井も決して選球眼が悪い打者ではないが、逆に選球眼が良いことで、難しい球でもストライクだと判断するとヒットを打とうとしてしまう。

「僕はどうしても、フェアグラウンドに入れようと思ってしまう。それで失敗しちゃうんですよ(笑)。落合さんは自分のポイントまでボールを引きつける。あまり前で拾って打つというようなことはしない。そういう打撃スタイルだから、ああやって一塁側にファウルが打てるんだと思います」

落合「でも、松井には大きな欠点がある」

 3年の間、こうして落合の理論を直接聞き、自分の目で見て松井は学んだ。落合の打撃理論は、取り入れることができるものもあれば、右打者と左打者という決定的な差異から、決して真似できないものもあった。ただ、なぜ、その中で松井が落合の理論に傾倒していったのか。その理由を松井はこう説明する。

【次ページ】 落合「でも、松井には大きな欠点がある」

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