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ゴールデンコンビが出会って10年。
香川真司&乾貴士はW杯で再び輝く。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJFA/AFLO

posted2018/06/17 11:30

ゴールデンコンビが出会って10年。香川真司&乾貴士はW杯で再び輝く。<Number Web> photograph by JFA/AFLO

セレッソ大阪から世界へと羽ばたいた香川真司(左)と乾貴士。10年の時を経て日本の救世主となるか。

「真司もまったく同じことを思っている」

 お互いのコミュニケーションは更なる深みを見せていた。

「試合をすればするほど、乾とは“プレーのインスピレーションが合うな”と凄く感じるんです。特にゴール前での感覚が驚くくらい合うんですよ。特に会話をしているわけでもないのに、インスピレーションが一緒で、ゴールに対して、同じ絵を描いていることが多いんです」

 こう香川が語れば、乾もこう話していた。

「真司はめちゃくちゃうまいですよね。僕は味方の良い部分を引き出そうといつも思っていて、“こうやったら味方がフリーになる”と考えながらプレーしていますが、真司もまったく同じことを思っているから、お互いの良さを引き出し合えるんです」

 さらにライバル意識も存在した。香川がゴールを決めれば、乾がゴールを決める。乾がゴールを決めれば、香川がゴールを決める。それだけでなく、乾が香川にアシストをすれば、香川が乾にアシストをする。天才が共鳴しあって、C大阪のアタッキングサッカーがJ2で猛威を振るった。

「やっぱり意識しちゃいますよね。あいつがゴールを決めると、嬉しいけど、悔しいですよね。俺も負けたくないって」(乾)

「同い年ですし、チームメイトであるけどライバルでもある。あいつが点を取ると、やっぱり悔しいですよね。お互い意識しあっているからこそ、悔しいのだと思う」(香川)

ピッチに立てば長年の大親友のように。

 この年のC大阪はまさに“香川・乾の年”だった。香川は44試合出場27ゴール。乾も47試合出場20ゴールをマークした。チーム総得点の約半分を2人で挙げる大車輪の活躍で、チームは7年ぶりのJ1昇格を果たした。

 筆者は当時、“ゴールデンコンビ”をたびたび取材した。2人は仲こそ良いが、ピッチ外でずっと一緒にいたり、常に会話するわけではなかった。つまり必要以上に介入しない関係だった。とはいえ、ピッチに立つと長年の大親友と思うほど息がぴったりと合う。本当にサッカーをするために、出会うべくして出会ったコンビだった。

 2010年7月、香川がドルトムントに移籍したため、このコンビは一旦解消された。その後ドイツで活躍する香川の後を追うように、1年後に乾もボーフムに移籍した。

【次ページ】 真司のいる1部に少しでも早く行きたい。

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