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ゴールデンコンビが出会って10年。
香川真司&乾貴士はW杯で再び輝く。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJFA/AFLO

posted2018/06/17 11:30

ゴールデンコンビが出会って10年。香川真司&乾貴士はW杯で再び輝く。<Number Web> photograph by JFA/AFLO

セレッソ大阪から世界へと羽ばたいた香川真司(左)と乾貴士。10年の時を経て日本の救世主となるか。

クルピ監督のもとでコンビ結成。

 たまに年代別代表で一緒になる以外、2人はほぼ交わることがなかった。しかしついに、最高のパートナーになる瞬間が訪れた。

 それは2008年6月のこと。乾が出番を求めて、C大阪に移籍したのだ。

 このニュースを聞いた時、筆者は「ついに2人の才能が共鳴する」と直感した。なぜなら2人とも足下の技術はもちろんのこと、常に状況を見て周囲を活かしながら自分も活かせる選手だからだ。この2人がコンビを組んだら相当面白いはず。ただのドリブラー、ただのパサーではなく、的確な判断と豊富なイマジネーションとスピードを持つ2つの超新星。彼らの間に“余計な会話”はいらないのでは、と予想した。

 当時、C大阪の監督だったレヴィー・クルピ(現・ガンバ大阪監督)にも、それがはっきりと見えていたようだ。クルピ監督は乾をすぐにレギュラーに抜擢し、3-2-4-1の2シャドーの一角として、香川とコンビを組ませた。

 彼らに時間は一切必要なかった。ピッチに立てば常にお互いを視野に入れ、お互いのやりたいことを理解しながらプレーできることにすぐ気がついた。

乾が来て、香川は目を輝かせていた。

 乾がやってきた当時、香川が目を輝かせて話す姿がとても印象に残っている。

「乾は何かを持っている。僕はあいつが来たことで助かったんです。すぐにフィーリングが合ったし、自分に来ていたマークは分散して、お互いにフリーになれる機会が増えた。本当にプレーしやすくなった。一緒に練習しただけで、技術の高さ、足下、足首の柔らかさを感じたし、相当なテクニックを持っていますからね。

 それでいて速いから、試合中に俺と平行しながら動いて、パスとドリブルをお互いに選択できるようになった。本当にプレーしていて楽しいんです」

 2人の流動的なプレーが、お互いの得点力を存分に引き出した。香川はこのシーズンで16ゴールをたたき出し、乾も途中加入ながら6ゴールをたたき出した。

 そして翌'09年、2人にとって文字通り飛躍の年となった。

【次ページ】 「真司もまったく同じことを思っている」

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