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ハリル解任報道の“味付け”で分かる、
各スポーツ紙ビミョーな立ち位置。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byKoji Watanabe/Getty Images

posted2018/05/01 17:00

ハリル解任報道の“味付け”で分かる、各スポーツ紙ビミョーな立ち位置。<Number Web> photograph by Koji Watanabe/Getty Images

爆弾発言を期待した報道陣。会見内容は、代表監督の思い出と少しの皮肉、そして困惑の気持ちを告げるのみで終わった。

「あれほど驚き、感動し、感謝した三振はありません」

 野球ファンが泣いたのは「鉄人」衣笠祥雄氏の訃報だった。

 偉大な記録も多いがその人柄のエピソードも多かった衣笠氏。

 連続試合出場記録を続けているとき、当時巨人の西本聖投手から死球を受け骨折。しかし翌日に代打で出てきてフルスイングで三球三振。

 試合後に「1球目はファンのため、2球目は自分のため、3球目は西本君のために振りました」と語ったというエピソードは有名だが、では西本氏は衣笠氏の訃報にどうコメントしたのだろう。

 西本氏が評論家として所属している日刊スポーツが大きく取り上げた(4月25日)。

《あれほど驚き、感動し、感謝した三振はありません。プロのすごさというものを、痛烈に見せていただきました。(略)あの言葉は一生忘れません。その後、衣笠さんが記録を達成するたびに、うれしかったし、ホッとしたものです。》

《プロの厳しさを教えていただいたのに、私は心の中で誓いました。「衣笠さんだけは厳しく内角を攻めるのをやめよう」と。よくホームランを打たれました。天国の衣笠さんからは「お前はプロとして甘かったな」と言われるかもしれませんが、こんな人格者に対し、死球を当てたらいけない、と私の中で勝手に思っていました。引退なされた後も「ニシ! 元気にしてるか」とよくお声をかけていただき、かわいがってくれました。心からお悔やみ申し上げます。》

 さらば鉄人・衣笠。

 以上、4月のスポーツ新聞時評でした。

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