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13位でも、小さくガッツポーズ。
神野大地の初マラソンは手応え満載。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKyodo News

posted2017/12/06 17:00

13位でも、小さくガッツポーズ。神野大地の初マラソンは手応え満載。<Number Web> photograph by Kyodo News

3代目山の神、こと神野大地はマラソンでも順調にキャリアを積み重ねている。目指す東京五輪まではあと2年半だ。

快活な神野が顔を曇らせた11月のある日。

 その時の感覚を神野はこう話す。

「集団から離れてからは一歩一歩、踏み出すような感じでした。それでも園田(隼・黒崎播磨 2時間12分4秒で11位)さんと、佐々木(悟・旭化成 2時間12分40秒で12位)さんが一緒にいたのでなんとかついていけましたが、後半はジョグ以下でしたね。最後の最後に足のマメもズルッと剥けちゃってゴール出来るか心配なほどでしたが、それでも12分台が出たのは次につながるのかな、と。今日の経験を踏まえて次のマラソンで3、4分縮めていくために、しっかりと準備していきたいと思います」

 神野のマラソンデビュー戦を、どう評価すべきだろうか。

 うまくまとめたな、というのが私の印象だ。

 なぜなら、福岡国際を迎えるまでの最後の1カ月間は、決して順調に準備が出来たわけではなかったからだ。

 11月5日に行われた全日本大学駅伝の取材の時、テレビの解説で熱田神宮にいた神野と出くわしたが、「実は、いまあんまり調子が良くなくて……」と顔を曇らせていた。快活な神野にしては、珍しいことだった。

万全ではなくても、経験はすべて収穫になる。

「それでも、ここからは上がっていくだけですから」と最後は神野らしく前向きな姿勢を崩していなかったが、順調ではないことがうかがえた。さらに、レース2週間前には右のアキレス腱に痛みが出て、11月20日からの3日間はノーラン。

 ちょうど10日前となる11月23日に走り始め、25日土曜日に16000mのビルドアップ走をメニューに入れ、『これなら行ける』と思い、福岡国際への出走を決めた。

 もちろん、万全の準備が出来なければダメだという意見もあるだろう。しかし経験を重ねていけば、ガチっと調整がハマる時がくるはずだ。その時を待てばいい。

 今回のマラソンを受け、早くも神野は次のレースへと視線を向けている。

「初マラソンだったので、すべてが収穫です。トレーナーの中野ジェームズ修一さんからは、『今日は初めてだから、反省点を見つけることが大切だから』と言われていたんですが、本当に自分の弱いところが分かりました。今のこの状態をしっかりと中野ジェームスさんに伝えて、メニューを考えていただき、また二人三脚でやってみたいと思います」

【次ページ】 大迫の2時間7分台を見て、本気に。

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